■10年で変わったネット番組
番組の内容が成熟するにつれ、出演する顔ぶれも変わっていった。かつてはネット番組を敬遠していた政治家たちが、今では次の総理大臣を決める自民党総裁選など重要な局面でアベプラに集結する。この「信用の獲得」こそが、この10年間の成果だと彼女は語る。
穂川 本当にネットテレビが身近になって、認められたものになったと感じています。ABEMAに総裁候補が全員来てくださるとか、すごいなと思いました。今までは『地上波にしか出ません』と言ってたような政治家の方が、ウェブにも進出してきたのを見ると、それぐらい信用がこの10年で大きくなったんだなと感じます。
一方で、ネット番組ならではの「距離感の近さ」が、出演者の素顔を引き出す効果も持ち続けている。
穂川 視聴者の目線で考えると、ネットにはちょっと油断しているところ、少し気が抜けるところを期待していると思うんです。アベプラは、テレビ朝日の基準の中で制作しているはずだけど、いまだに政治家の方も「これはネット放送だから言っちゃうけど」とか言うじゃないですか。「いやいやいや!油断しすぎ!一番切り抜かれるよ」と、私は思っています(笑)。でも、そういう意味で、みんながネットテレビに期待してるものはあるし、地上波では見せないようなお茶目さであり、カッとなる部分であり、普段は見せないような顔、発言しないようなナイショ話を出せるからこそ、アベプラにニーズがあるんだろうと思います。
それは共演してきたテレビ朝日アナウンサー陣も同様だ。穂川は、共に番組を作ってきた平石直之アナウンサーなどの「切り替え」にプロの真髄を見ている
穂川 平石さんって地上波ではお利口にしてるんですよ(笑)。テレビ朝日の「グッド!モーニング」を見ているんですけど、すごくにこやか。ニコニコしている。だけど、アベプラだと眉間にしわを寄せて討論して、目も血走っている。地上波の番組だと、本当に爽やかな顔をして「そうですよね!!」とかってやっている。本当に切り替えがすごい。きっと本人たちもアベプラだからこそ『これを引き出さなきゃ!』というプレッシャーも感じながらやっているからこその言動だと思うし、目の血走りも演出だと思うので、そういうところも相まって議論が盛り上がるんだと思います。
ネット討論番組が当たり前になり、YouTubeやSNSで、誰もが発信できる時代になった。しかし、選択肢が増えすぎたことで、新たな課題も生まれていると指摘する。
穂川 情報が混沌としすぎる時代になった気がします。情報に触れる場所もコンテンツも多すぎるんですよね。その中で、“信用できる情報”はどこが届けてくれるのか。何を見たらいいのか。みんな迷っているように思いますし、私自身もそうです。私はXの情報を一応は見るけれど『これは嘘くさいな』という気持ちで見てしまうんですよね。しかもそれって、すごく疲れますから(苦笑)
番組を卒業する今、彼女が痛感しているのは、刺激的で偏った情報や炎上よりも、その根底にある「安心感」の重要性だ。
穂川 今のネットテレビは、皆さんすごく取材した上で放送されているから信頼できるようになりました。だけど、すぐ隣に並んでるYouTubeのチャンネルやXには、全然違う情報が溢れてて、困っちゃう。だから、私も含めてみんなは「この番組は信頼できる!」と思えるものを、探しているんですよ。『安心できる情報・番組』はすごく欲しいです。これからもアベプラがそういう場であってくれたらうれしいです。
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