「通信の秘密」や「プライバシーの保護」との兼ね合いは?
奥住記者は今この組織が必要とされる背景として、世界中で激化する「情報戦」を挙げた。SNSを用いた偽情報による世論の攪乱や選挙介入、技術流出など、国家が判断を誤らされるリスクが高まっており、外交や安全保障といった国の根幹を守る体制強化が急務となっている。
政府や自民党内では、今回の設置を皮切りに、さらなる体制拡充を見据えた議論が進んでいる。自民と維新の連立合意などには、海外での情報収集に特化した「対外情報庁」の創設や、情報要員(スパイ)の育成機関の設立、スパイ防止に関連する法整備などが盛り込まれている。今後の焦点となるのは、通信情報やサイバー空間を分析する「シギント(SIGINT)」能力の向上だ。映画のようなスパイが直接情報を取る「ヒューミント(HUMINT)」以上に、現代の情報戦ではこれらデジタル領域の全体像を掴むことが重視されている。
一方で、インテリジェンス機能の強化は、市民の権利や自由との衝突を招く懸念もある。奥住記者は、将来的に情報収集の範囲が広がれば、「通信の秘密」やプライバシーの保護をどう図るかが大きな議論になると指摘した。現に永田町では、選挙への影響を考慮したSNS規制の議論も出始めている。
奥住記者は、この法案が「日本がインテリジェンス国家に向かう第一歩」であることは間違いないとした上で、ゴールがまだ見えていない点に注意を促した。人材が危機にさらされた際の国家の責任や、憲法との整合性など、未だ固まっていない課題は多い。「政府任せにするのではなく、議論の行き過ぎで個人の自由がおかしくならないか、国民一人ひとりが注視し続けることが最も大事だ」と奥住記者は結んだ。
(ニュース企画/ABEMA)
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