『新聞記者』『余命10年』『正体』など精力的に作品を発表し、今年秋には『汝、星のごとく』の劇場公開を控えるなど、いま日本映画界の最前線を走り続ける藤井道人監督。ニュース番組『ABEMA Morning』では、数々のヒット作を世に送り出してきた藤井氏が監督業とともに取り組んでいる“育てる”という挑戦について取材した。
「僕らが今もう30後半になってきて、今までは『チャレンジャー(挑戦者)』でした。追う側だったんですけど、どちらかというと『チェンジャー(変革者)』になっていかなければいけない」(藤井道人氏、以下同)
“トー横”封鎖後の新宿・歌舞伎町を舞台に、居場所を失った4人の若者たちの想いと運命が交錯するたった一夜の逃亡劇を描いた映画『東京逃避行』。監督を務めたのは、24歳の新鋭・秋葉恋である。第二回東京インディペンデント映画祭でグランプリを受賞した同名短編を自ら長編映画化。秋葉監督自身が歌舞伎町で過ごした経験をもとにオリジナル脚本で描き出した。今作で藤井氏はプロデュースを担当している。
「荒削りだけど、彼にしかできないものが爆発しているなと思いました。彼が『作りたい』という欲だったりとか、そういうものがパーンと爆発してるような好感を持てましたね。あとやっぱ俳優が良かったっていう。やっぱり監督っていうのはスタッフとそして俳優を導くという仕事なので。俳優の芝居を良く撮れるというのが一個の武器だなと思いましたね」
2人の出会いは7年前。高校生映画甲子園の審査員を務めていた藤井氏の目に留まったのが、秋葉監督だった。「BABEL LABELに入りたい」と食らいついてきた若者の熱意を、藤井氏はこう振り返る。
「ずっとなんか横にちょこちょこくっついてきた若造っていうのが最初のイメージです」「気づいたらエキストラに来てたりとか。映画が好きでその愛はすごく作品を見て伝わるという感じがします」
そんな秋葉監督の長編デビュー作である『東京逃避行』。藤井氏は環境づくりを手伝いつつ、秋葉監督へはこんな“藤井流”のサポートも…。
「『トー横の“その後”を描いた作品っていうのはないんじゃないの』というのはアドバイスとして言った気がしますね。それ以外は場を作るというか、そういうお金を集めてきたりとか、スタッフちょっと頼むよって言って集めたりっていうのは手伝いましたけど。基本的には『甘やかさない』というか『自分の力でやりなさい』というのがモットーではあるので。彼自身が自分の中で選択をしていかないと成長しないと思って“放牧”しました」
この“放牧”には、藤井氏の“信念”が込められている。
「軌道修正を大人がやってくれるという習慣をつけさせないっていうのが大事だと思って。失敗したら自分で自分のけじめを取るっていう」「やっぱり失敗からしか学べないことが映画はすごく多くて。映画って同じことが二度と起きないんですよ、作品も違いますし。なのでこうしておけば大丈夫とか、こうしておけば誰かが何かしてくれるっていうことにはならないように育てているつもりですね」
藤井氏が目指す 新たな表現者の創出
