両者のタイトル戦での激突は今回で7回目。その全7シリーズで藤井王将が勝利を収める結果となったが、今期はかつてないほど永瀬九段が王者を崖っぷちまで追い詰める展開となった。さらに藤井王将は、並行して行われている棋王戦五番勝負でも、挑戦者の増田康宏八段(28)を相手にカド番に追い込まれるという最大のピンチに直面。一時は「ダブル失冠」により、保持するタイトルが6冠から4冠へ陥落する危機すら囁かれていた。しかし、極限状態の中でこそ王者の底力は発揮される。苦しいカド番をことごとくしのぎ切り、星を積み重ねての大逆転劇は、改めてその底知れぬ強さを日本中に証明することとなった。
5連覇を達成した藤井王将は、「カド番になった時点ではかなり厳しい状況だと思っていたが、防衛できたのは幸運」とコメント。フルセットとなった七番勝負を振り返り、「非常に厳しいシリーズだった。特に後手番のときに作戦負けからそのまま押し切られてしまう将棋が結構あったので、その辺りは大きな課題だと受け止めている。その辺りをしっかり見直してまた次に繋げていきたい」と早くも次なる戦いを見据えていた。
1月に開幕した王将戦七番勝負をフルセットの死闘の末、劇的な逆転勝利という最高の形でゴールテープを切った藤井王将。しかし、勝利の余韻に浸る間もなく、3月29日には防衛がかかる棋王戦の最終第5局が控えている。怒涛のタイトル戦ラッシュとなった今年度を最高の形で締めくくることができるのか。そして、新年度に切り替わる4月8日には、早くも名人戦七番勝負の防衛戦が開幕する。
多忙を極めるスケジュールの中でも、逆境を糧にしてさらに凄みを増していく23歳の絶対王者。新年度の盤上でも、よりパワーアップした“面白い将棋”で私たちを魅了してくれることは間違いない。
◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王5期、名人3期、叡王3期、王位6期、王座2期、棋聖6期、棋王3期、王将5期、の通算33期。永世竜王、永世王位、永世棋聖の資格保持者。棋戦優勝は14回。2023年10月には第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。現在保持しているタイトル数は6冠。通算成績は445勝96敗、勝率は.822。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)




