■心理学専攻の大学生でも騙される“ニセ警察詐欺”
有賀教授は、心理学を学ぶ学部生を対象に、警察官を装った掛け子役が個人情報を聞き出す「ニセ警察詐欺実験」を行った。ニセ警官が「特殊詐欺の被害者を逮捕したところ、犯人が被験者を共犯者だと言っている」「被験者名義の預金口座にお金を振り込んでいて、犯罪収益移転防止法に抵触するおそれがある」として、逮捕状を用意済みだと通告。すると、対象となった学生148人のうち、5人が個人情報を渡してしまったという。
なぜ知っていてもだまされるのか。心理学には2つの“バイアス”があるという。まずは「後知恵バイアス」で、物事が起きたあとで「そうだと思った!」などと、まるでそのことが予測可能だったと考える心理傾向。ミス発生時に「やっぱりね」と後付けで思い込むことなどがそうだ。
もう一つが「インパクトバイアス」で、未来の出来事が自分にもたらす喜びや悲しみを、実際よりも過大に予測してしまう心理傾向。「不安だったがいざ始まったら心配しすぎだった」「楽しみにしていたことほど面白くなかった」などが例となる。
有賀教授は「知っていてもだまされることはある。後知恵バイアスは、野球での『なんであの時ピッチャーを代えなかったのか』のように、あたかも予測できたかのように発言することだ」と解説する。
実験の結果には「実際に電話に出て『警察官だ』と言われれば、誰もが驚くと思う。その時の驚きや不安が、『知らない番号からの電話』という文脈の情報に勝ち、頭がいっぱいになって、話を聞いてしまうのが、だまされる入口だ」と警鐘を鳴らす。
実験は「まずは心理学専攻の学生に、神奈川県警の警察官から特殊詐欺について説明する。そして、『内容は言えないが実験に協力してもらえるか』と同意を取り、約1カ月後に『警察官のふりをした詐欺師』を演じた警察官が電話して、LINE情報を聞き出す」という流れだ。「心理学を学んでも、人の心を読めるようになるわけでも、だましを見破れるようになるわけでもない。ただ、だましを含む実験に慣れている人でも、5人も個人情報を教えた」。
対策としては「一番は電話に出ないことだが、出ないといけない状況もある。その時に『出てもすぐ切る』ようにする。会話の中で、お金や個人情報の話が出てきたら、すぐ切るつもりでいるのが大事だ。見破る事例は『このポイントで電話を切った』とわかりやすい。同じ状況でまねすればいいだけのため、教材として効果的だ」とアドバイスする。
まみぃさんは、被害者としての経験から「『おかしいな』と思った時に、逃げ出す勇気を持つのが大事だ。どんな相手でも、せかされても、脅されても、5分待つなど落ち着いてから判断する。あるいは誰かに相談することを、日頃から心掛けるのが大事だ」と語った。
(『ABEMA Prime』より)

