■“主婦年金”がなくなる?
今回の見直し方針を示した与党・社会保障制度改革協議会の実務者である、維新の伊東信久衆院議員は、「与党も厚生労働省も財務省も、持続的な社会保障のために議論している。元は専業主婦とバブル期の猛烈サラリーマンからできた制度だ。どの立場も守るのが政府のスタンスだが、独身者や共働きの人々に不公平感があるのではないか」と説明する。
そして、「いま我々がやっているのは、『働きたいけれど働けない人』をどうするか。障害を持っていたり、家族の病気で専業主婦になったりする人の実態を調べている段階で、何かが決まったわけではない。『何年かかけて移行が必要』と、与党協議で方向性が決まっただけだ」とした。
昭和女子大学特命教授の八代尚宏氏は、「“主婦年金”は廃止すべき」と考えている。「昔は自営業の共働きがメインだった。自営業は個人単位の年金制度で、夫も妻もそれぞれ保険料を払う。高度成長期に夫が働き、家事や子育てを妻がやる分業が生まれたが、これはあくまで成長期の産物だ」。
また歴史を振り返りつつ、「所得があまり増えない現代には、健康な女性を独占するような専業主婦は、よほど稼ぎのいい夫や、すごく家事や子育てを手伝う夫でないと無理だ。専業主婦世帯は例外だと考えた方がいい」との考えを示した。
一律の廃止は難しいのでは、といった意見に対しては、「本来は貧しい人や障害児を育てている人をターゲットにする必要がある。幸い現政権では、給付付き税額控除が議論されていて、与野党が反対しておらず実現性が高い。これが困っている人に絞った政策になる」と返した。
専業主婦のチニキンアナゴさん(40代)は、「専業主婦になる前、フルタイムで働いていた。子ども1人ではなんとかできたが、2人目は切迫早産で入院した。保育園に落ちたり、子どもに障害を持ったり、介護があったりなど、働けない状況になった時、女性が仕事を辞めて担うことが多い。その時に妻が無年金になっていいのか。セーフティーネットの役割として必要だ」と感じている。
子どもの病気のために仕方なく専業主婦を選択した、みえさん(30代)は「縮小と聞くと、将来に不安しかない。これからのママ世代が『専業主婦になると、何も年金がもらえない』と思う社会では、誰も子育てしたくないだろう」としつつ、「『働けない人への対策も考える』と聞くと、時代の変化は仕方ないなとも思う。皆が不満を持たない社会になるなら、『絶対反対』とは言わない」と語る。
しかしながら、現状の政策が行き届いているとは思わないという。「今は少し働けると思える程度まで来たが、数年前までは子どもの預け先が全然なかった。長時間預けられず、1〜2時間で働ける場所は簡単に見つからない。在宅でも簡単ではなく、私が活躍できる場所が増えているとは感じられない」。
八代氏は「誤解があるが、第3号の廃止は、無年金者を作ることではない。2つ方法があり、働いてもらい第2号にするか、第1号にするか。基礎年金ができる前は、任意で妻を第1号に入れる制度があった。老後年金を増やすために、夫が保険料を払うもので、7割程度のサラリーマンが選択していた。第1号は所得が低い場合の減免制度もある」と説明する。
タレントの最上もがは「『専業主婦』という言葉に敏感に反応してしまい、中身を理解しないまま批判が始まったのではと感じた。『全体的にプラスになる』という話をしているのに、どこかで勘違いをして、ケンカしていたのでは」と話す。
■今の時代に合った年金制度に見直し
