28日の衆議院本会議で、経済安全保障推進法改正案への質疑が行われた。
【映像】何度も河合議員を見ながら答える小野田大臣(実際の様子)
チームみらいの河合道雄議員は、「AIの急速な変化を踏まえた経済安全保障体制の構築が急務と考え、その問題意識から質問をいたします」として、アンソロピック社の最新AI「クロード・ミュトス」の脅威の問題を質問した。
河合議員はまず「今月、アンソロピック社が開発したAIモデル、クロード・ミュトスが国際社会に衝撃を与えています。一般に使われているOSやブラウザの未公表のシステムの穴が数千件発見されたと報告され、人間のセキュリティ専門家の実力にAIが追いついた、または追い越したのではないかと考えられているからです」と述べた。
続けて「アンソロピック社は悪用を危惧し、同モデルへの一般公開を見送り、金融、IT業界など特定少数の組織にのみ防御目的で提供しております。今後、短時間のうちにオープンAI社をはじめとする他の企業や国家もこのようなモデルを開発できる可能性があり、攻撃能力が広く拡散していく恐れがあります」としたうえで、「本件を受け、極めて強力なAIモデルを念頭にした対策を迅速に進めるべきと考えております。先端的なAIが安全保障上の脅威となり得る事態に、政府としてどのような対応方針を持っているか」と質問した。
これに小野田紀美経済安全保障担当大臣は「昨年12月にイノベーション促進とリスク対応の両立を旨とするAI基本計画を閣議決定したところです。AIの急速な進展がもたらす影響については不断に見直しが必要で、AI戦略本部における総理指示も踏まえ、本年夏の改定を目指し、AI基本計画の充実に向けた検討を進めてまいります。加えて、AISI(AIセーフティ・インスティテュート)とも協働し、高度なAIの技術動向や国際情勢等について情報収集、分析を行い、経済安全保障の観点も加味し、必要に応じて対策を講じる等、関係省庁と連携し必要な取り組みを推進してまいります」などと答えた。
河合議員は続いて、そのAISIについて取り上げた。「イギリスのAI安全機関AISIは、クロード・ミュトスのアクセスを得て、独立評価を公表しました。これは、2024年以降、両者が正式な合意の下で継続的に評価を重ねてきたためと考えられます。日本にもAI安全機関AISIが設置されておりますが、個別モデルを独立評価できる能力を持たなければ、イギリスのAISIのように、AI開発企業から信頼される土台を築けません」と訴えた。
そのうえで「日本AISIの評価能力や体制強化を政策目標として明確に位置付け、工程表を示すとともに、アンソロピック及びオープンAI両社への国家レベルの戦略的コミュニケーションを能動的に仕掛けることが我が国の経済安全保障にとっても必要と考えますが、大臣の見解をお聞かせください」と質問。議場からは「よし!」という声も複数飛んだ。
小野田大臣は「AIの安全性やセキュリティの確保は極めて重要であり、AISIの機能強化は喫緊の課題と認識しているところ、昨年12月に閣議決定したAI基本計画において、政府を挙げたAISIの抜本的な機能強化を、講ずべき施策として明確に位置づけているところです。AISIにおいては同計画に基づいて人員の拡充を図るとともに、個別の先進AIモデルを自ら評価する機能や、海外企業、海外機関を含む、国内外の関係者との連携を強化すべく取り組みを進めている」と答えた。
河合議員の指摘に議場からは「そうだ!」の声
