慶大教授が「給付付き税額控除との一体化」を提案
現在ある制度を変える際には、不利益を被る人もいる。そうした中でどのような議論が必要だろうか。教育経済学者で慶應義塾大学の教授・中室牧子氏は、制度変更に伴う課題と今後の進め方について次のように言及した。
「社会保険の加入条件を満たさない人は全員、国民年金と国民健康保険に入る形が一番シンプルでわかりやすいと思うが、今の制度を前提に人生設計をしてきた人が大勢いる以上、コロコロと制度を変えるのは望ましくない。ただ、見直しの議論が始まったこと自体は非常に歓迎していて、この際、制度の趣旨や目的に照らして、中立で簡素な制度を目指してほしい。その間に、私たち国民も『こういう方向に変わっていくんだ』と念頭に置き、徐々に生活のあり方を変えていく」(中室牧子氏、以下同)
さらに中室氏は、制度設計の具体的な方向性として、政府内で検討されている「給付付き税額控除」と一体化した議論を提案。
「年金も健康保険も、困っている人を共助の形で助け合う制度だ。給付付き税額控除のような制度が導入されれば、困っている人に困っている期間、必要な分だけきちんと再分配ができるようになる。家族の形態や年齢で区切るような、雑な再分配をしなくても済むかもしれない。共助の仕組みは多すぎても少なすぎてもいけない。『帯に短し襷に長し』にならない制度が望ましいと思う」
さらに今後の医療制度のあり方を考える上では、健康維持と負担のバランスをデータに基づき考えることが必要だと指摘した。
「病院を無料にするなど、国が全て丸抱えしてくれたら個人としては望ましいが、そうするとモラルハザードが起き、不要な受診やむやみに高い検査が行われるようになってしまう。『ゼックハウザーのジレンマ』と言われるが、経済性と国民の健康のバランス、どこをどう変えれば国民の健康を損なわず費用を削減できるのかをエビデンスできちんと示し、国民が納得できる制度にすることが必要だと思う」
(『わたしとニュース』より)
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