「ハンタウイルス」感染拡大の可能性は…コロナ禍を経験した日本における「緊急事態条項」の創設論議 憲法改正の賛否両論を見る

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■コロナ禍の教訓と「緊急事態条項」をめぐる対立

緊急事態条項
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 この騒動と時を同じくして浮上しているのが、憲法に「緊急事態条項」を創設すべきかという議論だ。緊急事態条項とは、自然災害や感染症の蔓延などの緊急事態において、内閣の権限を一時的に強化し迅速に対応できるよう憲法に定めるものだ。

 政治評論家の平井文夫氏は、緊急事態条項の創設に賛成の立場を取る。コロナ禍の対応を振り返り、「コロナ禍の時、ロックダウンは必要なかったという声はあったが、『できなかった』ことに間違いはない。それができないから緊急事態宣言という形を取った」と指摘した。

 さらに、憲法に記載した場合の濫用に対しての懸念には、「日本は相当民主的な国家。なかなか権力の濫用はできないと思う。それを言っていると安全が守れない」と、有事における行政権限の必要性を強調した。

 これに対し、前衆議院議員で弁護士の藤原規真氏は、「反対だ。そもそもパンデミックや有事に対しても、法律で対応は十分可能だ」反論する。藤原氏は、「改憲して緊急事態条項を入れると、行政に権力が集中して基本的人権が侵害される。あるいは行政が肥大化して三権分立の統治機構自体が崩れてしまう。負の側面の方が大きい」と懸念を示した。

 議論の焦点は、現行の法律で対応可能か、それとも憲法改正が必要かという点に集まった。平井氏は、「法律で変えただけだと、『それは憲法違反だ』と国が訴えられる可能性がある。『基本的人権の侵害だ』と言われてしまうからだ」と主張する。

 これに対し藤原氏は、「基本的人権といっても、内在的な制約がある。移動の自由を制限するとしても、現行憲法のもとでも絶対無制約ではない。例えば、悪いことして刑務所にいる人に移動の自由はないが、それを違憲という人はいない。現行憲法のもとで法律を変えたら、直ちに違憲と訴える人がたくさん出るかは別問題だ」と指摘。さらに、「既に災害救助法、災害対策基本法もある。もう十分、現在の立法で対応可能だ」と述べ、法整備の範囲内で対処すべきだとした。

 感染症の専門家である古瀬氏は、緊急事態条項のうち「感染症蔓延」に関する議論に限定した上で「感染症法という法律があり、ご本人が同意されなくても一定期間入院してもらうこともある。ある意味で、強制できるようにはなっている」と述べ、未知のウイルスに対しても一定の法的手段が既に存在することを説明した。

■緊急事態条項は「改憲の入り口」になるのか
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