トランプ大統領“台湾問題言及せず” 友好ムードが一変 米中首脳会談の舞台裏

トランプ大統領“台湾問題言及せず” 友好ムードが一変 米中首脳会談の舞台裏
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 14日、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が行われました。この会談では、習主席が台湾問題について「処理を誤れば米中が危険な状態に陥る」と警告し、会談後トランプ大統領は台湾問題を扱ったかという質問には答えませんでした。

【画像】イーロン・マスク氏 会食前に変顔披露 ウインクも

トランプ大統領“異例場面”も

習主席とトランプ大統領が並んで入場
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 14日夜、行われた晩餐(ばんさん)会。中国の習主席とトランプ大統領が並んで会場に入りました。

 着席したテーブルには庭園のようなものがあしらわれています。習主席は、冒頭のあいさつで…。

「ライバルではなくパートナーになるべき」
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「きょう私はトランプ大統領と中米関係、国際および地域の情勢について深く意見交換をした。中米は世界で最も重要な二国間関係であると一致した。両国は協力すれば利益となり、争えばともに傷つく。ライバルではなくパートナーになるべきだと思う。乾杯!」

 これに対しトランプ大統領は、習主席をアメリカに招待することを明らかにしました。

「中国代表団との会合や話し合いは極めて有意義で実り多いものだった。我が友である習国家主席にこのような歓迎を受けたことに感謝したい。そして習主席と夫人を9月24日にホワイトハウスでお迎えできることを光栄に思う」

 感謝を述べ、お酒を一口飲んだトランプ大統領。

お酒を一切飲まないトランプ氏が異例の行動
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 アルコール依存症で亡くなった兄の影響でお酒を一切飲まないトランプ大統領にとっては異例の行動。乾杯後には習主席に自ら手を差し出し、歩み寄る姿も見られました。

 ニューヨーク・タイムズによると、中国を代表する料理「北京ダック」のほか、トランプ大統領の好物である牛肉などが振る舞われたということです。

イーロン・マスク氏に人だかり

 そして晩餐会に出席した顔ぶれも異例。

ジェンスン・ファン氏
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 半導体メーカー「エヌビディア」のCEOで総資産30兆円を超えるジェンスン・ファン氏や「アップル」CEOのティム・クック氏など、ビジネス界のトップが一堂に会しました。

 前回、トランプ大統領が中国で会談した2017年には製造業や農業、エネルギー分野のCEOが中心でしたが、今回はITや半導体、金融分野のCEOが多数同行。

 CNNは、今回アメリカ側が半導体などを含めた対中ビジネス重視の姿勢を鮮明に打ち出したとしています。

トランプ大統領のTruth Socialから
「これらの優秀な方々がその手腕を発揮し、中華人民共和国をさらに高いレベルへと引き上げるために、中国を『開放』するよう要請するつもりです」

 中でも、晩餐会で注目を浴びたのが、電気自動車や宇宙航空事業などを幅広く手掛け日本の国家予算を超える総資産およそ130兆円のイーロン・マスク氏。

変顔も披露
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 会食の前には何度も写真撮影を求められ、変顔も披露。さらにウインクをしてカメラに収まる様子も。

 撮影していたのはイーロン・マスク氏がCEOを務めるテスラに憧れ、中国で自動車事業に参入したXiaomi CEOの雷軍氏。

 中央日報は、上海に大規模な電気自動車の生産施設を保有するマスク氏を習主席が「米中協力」の象徴として扱ってきたことから、今回の訪中が決まったと報じています。

中国総局 尾崎圭朗記者
「イーロン・マスク氏やティム・クック氏といった世界的な著名人が含まれていることは、世界各国の首脳だけでなく、世界的な大企業のトップまで『中国詣で』をするのが今の世界情勢なんだと、内外に印象付ける効果があったとの評価もあります」

 会食が始まる20分前には、おなかがすいたのか手を伸ばして、つまみ食い!

手を伸ばしてつまみ食いも
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 自由すぎるマスク氏の行動にSNSでは「子どもみたいに先につまみ食いしてる」「逆に人間味があって好き」と一躍話題になっていました。

握手14秒 親密アピール

 14日、人民大会堂で開かれた歓迎式典。トランプ大統領は、習主席と握手を交わし親しげに話しかけます。

14秒間の握手
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 2017年以来、9年ぶりとなったトランプ大統領の中国訪問。前回の初訪中の際には軽く握手を交わしただけでしたが、今回はおよそ14秒。しっかりと握手を交わした両首脳。

 両国の国旗を手にした子どもたちの熱烈な歓迎に、トランプ大統領は足を止め、満面の笑顔で拍手し応えます。

 世界中が注目する中、国賓待遇で親密さをアピールした両首脳。

 実はこの式典が始まる50分ほど前には、子どもたちが、入念なリハーサルを行っていました。式典後、開かれた米中首脳会談。

「尊敬するトランプ大統領、北京でお会いできたことをとてもうれしく思います。今回は9年ぶりの中国訪問となります。私たちの会談は世界が注目しています」

 会談の冒頭、習主席は両国の安定を呼び掛けました。

「双方が協力すれば利益を得られ、対立すれば傷つくことになります。我々は競争相手ではなくパートナーとなり、互いに高め合い、共に繁栄し、新時代における大国間の正しい付き合いの道を歩み出すべきです」

 これに対し、トランプ大統領は「あなたは偉大な指導者です。私は誰にでもそう言っています。あなたは偉大な指導者です。中国とアメリカの関係は、これまでになく良いものになるだろう」と、友好的な姿勢を強調し2度にわたり習主席を「偉大な指導者」とたたえました。

「あなたは偉大な指導者です」
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 さらに歓迎式典での子どもたちについては…。

「うれしそうな子どもたちが特に印象深かった。とても美しかった」

 台湾問題やイラン情勢に加え、貿易や経済の問題が焦点となった米中首脳会談。

 中国国営放送のCCTVが公開した映像では、テスラのイーロン・マスク氏やアップルのティム・クック氏、エヌビディアのジェンスン・ファン氏らアメリカの経済界のトップらが次々と会議室へ入っていく様子が映し出されていました。

トランプ大統領
「ここには世界最高の偉大なビジネスマンたちが私とともにいる。彼らは、あなたと中国に敬意を示すためここに来て、貿易やビジネスを楽しみにしている。それは完全に相互的なものになるだろう」

 首脳会談のさなか、習主席の前に登場した経営陣たち。新華社通信によると、習主席は「中国の扉は、さらに大きく開かれるだけだ」と語ったといいます。

イーロン・マスク氏の息子Xくん
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 この会談の後、李強首相との会談に臨みます。その際イーロン・マスク氏は、中国風の服を着た息子のXくん(6)を連れて登場。

 自身のXに、息子が中国語を勉強していると投稿しました。

台湾問題 記者の問いかけに無言

 経済分野で両国が友好ムードを演出する一方、会談で中国側が「中米関係における最も重要な問題である」と強調したのが台湾問題です。

習主席(新華社通信から)
「台湾問題を適切に処理できなければ両国関係はぶつかり、さらには衝突し中米関係を非常に危険な境地に追い込むことになる」
「“台湾独立”と台湾海峡の平和は水と油のように相いれず。台湾海峡の平和と安定の維持は、中米双方にとって最大の共通点である」

世界遺産「天壇公園」
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 首脳会談後、両首脳は北京市内にある世界遺産「天壇公園」を訪問。歴代の皇帝が祈りをささげた特別な場所で、当初は友好ムードを演出する狙いとみられていましたが…。

 しかし、肩を並べて歩く2人に笑顔はなく、この表情。同行していたイギリスメディアの記者はこのように話しました。

英 デイリー・メール ホワイトハウス担当
ラーシュ記者

「会談を終えたトランプ大統領は明らかに態度が変わっていました。到着式典の時、大統領は笑顔で、しかし会談を終え天壇公園を訪れた時、それほど友好的な空気ではありませんでした。トランプ氏は不機嫌そうで笑顔が少なく、習主席にほとんど話しかけることもなかったです」

 カメラの前で立ち止まった際には…。

無言で立ち去る
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「(Q.協議は…)素晴らしい。素晴らしい場所だ。信じられないほど素晴らしい。中国は美しい」
「(Q.大統領、台湾についてひとこと)……」
「(Q.台湾について何を話しましたか)……」

 二度の問いかけに無言で立ち去ります。その直後…。

「記者を退去、退去してください。急いで、撮ってないで急いで退去して。すみませんあちらへ」

この直前にもトラブルが
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 一転緊迫した雰囲気となった「天壇公園」訪問。実はこの直前にもトラブルが起きていたといいます。

 ホワイトハウス当局者によると、公園の敷地内に入る際、報道陣に同行していたシークレットサービスに対し、中国側の警備担当者が武器の携行を拒否。

 米中当局者の間で長時間激しい議論が起き、最終的に妥協案がまとまったといいますが、公園への入場が30分近く遅れたといいます。

待遇の変化“対等な大国”アピールか

 会談を終え和やかな雰囲気の中行われた14日の晩餐会。前回と比較すると、ある中国側の思惑がうかがえます。

トランプ大統領の孫 アラベラちゃん
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トランプ大統領の孫
アラベラちゃん(当時6)

「静かな湖に一面のハスの花が咲く」

 これは2017年の時の晩餐会でサプライズとして、披露されたトランプ大統領の孫アラベラちゃんが中国語で歌を歌う動画です。このサプライズに思わず、笑顔で目を合わせた両首脳。

 さらにトランプ大統領はメラニア夫人とともに歴代の皇帝が暮らした「故宮」を貸し切りで案内されるなど最上級の待遇を受け、当時、“皇帝級のおもてなし”とも言われました。

 一方で、家族ぐるみでもてなしを受けるシーンが見られなかった今回。背景にあるのは、この9年間での中国の躍進です。

「中国は唯一の『対等な大国』だという意識がある」
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尾崎記者
「北京のシンボルとも言える天壇公園を貸し切りにして歓迎するなど、今回も異例の好待遇をしていることは間違いありません。前回の米中首脳会談の際には、中国国内で今回よりも大々的に準備の様子が報じられましたが、今回はそれもなく、出迎えの際に両夫人が同席するといった演出などもありませんでした。こうした変化の背景としては、中国側にアメリカはもはや必要以上に気を配る必要のない相手で、中国は唯一の『対等な大国』だという意識があることが挙げられます」

(2026年5月15日放送分より)

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