
全国各地で、人の生活圏での出没が相次いでいます。東京・八王子では、住宅街にもクマが出没。なぜクマは町へ降りてくるのか?ドローンを使い、独自に追跡しました。(5月16日サタデーステーションOA)
八王子にクマ ドローンで検証
八王子市内で撮影されたクマはカメラの前をゆっくりと歩いて住宅の塀の後ろで一旦立ち止まると、何かを探すような仕草を見せ、そのあとゆっくりと塀の向こうに消えていきました。
クマが出没したのはいったいどんな場所なのか?沢山の住宅が立ち並び高速道路や駅などもある市街地です。
今回、私たちは地権者の協力のもと、ドローンで周辺を検証しました。
小山颯ディレクター
「こちら、クマが出没した林になっています。隣は霊園になっていまして、開けています。クマが身を隠すような場所は少ないように見えます」
すぐ近くには竹藪や、霊園が点在しています。タケノコや、お供え物目当てで、クマが出没したのでしょうか?現地は警戒を強めています。
南多摩霊園 長谷川智也さん
「食べ物を置いていかないようにご案内するのと、見つけた際には撤去するということを励行していくぐらいしかないのかなと」
市街地になぜ出没?「地形」に注目
クマの生態にくわしい小池教授が指摘するのは「地形」です。
東京農工大学大学院 小池伸介教授
「奥多摩の方からずっと緑が続いてきた一番端っこのところが、今回のところという位置付け。クマというのは割と山の中でも、尾根筋だったりとか、沢筋だったりとか、そういったところを通る傾向があるわけですね」
クマが出没した現場の藪の奥には山が広がっています。その尾根や谷を辿ってくると、突き当たるのが今回の現場なのです。
今も近くに潜んでいるのか。今度は、熱を感知するドローンカメラで見てみます。山の中に動物がいると、その体温を感知して白っぽく見えますが、出没していた地点の裏側の茂みには、動物の姿は確認できませんでした。現場から山間部への“中間地点”で改めてドローンを飛ばすと。
小山颯ディレクター
「上空150mから見ています。森の中。木陰になっているところもあるんですが、特に動物の姿は見当たりません」
およそ6時間にわたって探しましたが、クマの姿を見つけることはできませんでした。
都内のクマの出没情報は今年すでに25件。ポイントは八王子方面から都心方面に向かう川などの動線だといいます。
東京農工大学大学院 小池伸介教授
「多摩川の河川敷をみると、たとえばイノシシとか、シカというのは福生とか立川なんかでも定着したり、頻繁に目撃される場合もある」
「そういった場所では可能性としてはクマが移動してくる。突発的に現れてもおかしくないって考えても不自然でないですね」
90万人規模の祭り「ゴミ管理」に注力
こうした市街地でのクマ出没は、続出しています。15日、青森市では、県庁近くの商業施設にクマが居座る事態に。一時騒然となりました。
仙台市では高校や小学校などの近くで出没しています。2日間でおよそ90万人が訪れる「仙台・青葉祭り」では「ゴミ」の管理に力を入れていました。
仙台・青葉まつり協賛会 金田芳典事務局長
「ゴミを保管するためのプレハブ小屋になります。今年かクマ対策として新たに導入しました」
クマがゴミを食べる可能性があるため、出店などが利用するゴミの集積場では臭いが漏れないよう対策がとられていました。
“果実が主食説”クマの食性をめぐり新知見
西日本でも警戒感が高まっています。山口県岩国市の猟友会が撮影したのは箱わなに入ったクマ
体重およそ40キロのオスです。近づいても暴れる様子はありませんでした。
その隣の島根県で番組が取材したのは、松江市の猟友会です。16日は、シカやイノシシなどのわなを中心に見回りをおこなっていました。
島根県猟友会 細田信男代表
「2カ所ともイノシシにくくり罠をひっくりされていましたね」
「(イノシシの)鼻の先で罠を全部ひっくり返したので(罠を)再セットしました」
島根県の先月のクマ出没件数は、すでに90件を超え、去年の同時期の4倍となっています。東北地方の大量出没も他人事ではないといいます。
島根県猟友会 細田信男代表
「もう至るところに出ていますから。今ね」
「これはやっぱり必要以上に増えすぎておるのかなと」
その西日本では、「クマが食べるもの」についての新発見も。藤木准教授らの研究チームが兵庫県北東部のクマのフンを調査した結果、みずみずしい果実(=液果類)が主食だということが分かりました。
さらには、春には消化が良くタンパク質の多いタケノコ。初夏から夏にかけては昆虫類と、季節ごとに食べていたものが異なっていたことが詳細なデータを基に分かったといいます。
兵庫県立大学 藤木大介准教授
「クマの食性もかなり全国的に見ると実は多様であるというのは十分ある」
「出没に影響する樹種をフンから特定して、その樹種の豊凶を観測して、出没予測精度をいかに高めるかというところをやっていきたい」
