横須賀市 空き家に「役割」持たせて再生 地域コミュニティーの再構築目指す

横須賀市 空き家に「役割」持たせて再生 地域コミュニティーの再構築目指す
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 5月26日は、2015年に空き家に関する法律が施行されたことから「空き家の将来を考える日」となっている。番組では、神奈川県横須賀市で空き家問題に取り組む若者を取材した。

【画像】空き家を貸したい人と借りたい人をマッチング「さかさま不動産」

全国に900万軒の空き家

地域住民
「山の上に住んでいるので、足がだめになったら、もうどうしようもない。生活ができない」

 丘陵地にできた谷状の地形を「谷戸」と呼ぶが、横須賀市では急斜面の地区に多くの住宅が建てられ、細い路地や長い階段が張り巡らされている。

丘陵地にできた谷状の地形を「谷戸」と呼ぶ
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 坂の上の住宅までは100段以上の階段を上る場所もあり、高齢化が進む中、住み慣れた家を離れる人も少なくないという。

地域住民
「(Q.この辺は空き家多いですか?)多い!多い!この上とか、ひどいですよ」

全国の空き家はおよそ900万戸
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 全国の空き家はおよそ900万戸。7軒に1軒が空き家となる中、横須賀市でも課題となっていて、中でも谷戸の空き家問題は深刻だという。

 坂道ばかりで車も通れない。「住みにくい場所」と言われる谷戸。しかし…。

藤原香奈さん
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株式会社やとと 代表 藤原香奈さん
「不便さの見方を変えることで、それが豊かになるということをやっている」

 実は今“不便な街”に魅力を感じ、活性化に取り組む人たちがいる。「不便さ」を「豊か」に変える彼らの挑戦とは?

谷戸に新たな価値

 空き家が増え、人口減少が進む横須賀市の谷戸地区。一方で、この街に新たな価値を見いだす人たちがいる。その一人が室井達哉さん(39)だ。

室井達哉さん
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 建築を学び、現在は建設ITコンサルタントとして働く室井さんは、古民家を再生したいと9年前にこの地にやってきた。

「とことん自分で身近なものを作ろうというテーマで工房を作りたくて」

 知り合いの紹介で出会ったのが、この古民家。横須賀には縁もゆかりもなかったが、理想の物件に出会い、東京との二拠点生活を始めた。

古民家といえば梁
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「古民家はこれが売りですよね。天井を壊して、この梁(はり)を見て、いい時間だよねみたいなのが、僕は好きで」

 資材はホームセンターで調達し、仲間と共に改修を進めた。ただ、室井さんが目指したのは、空き家の再生だけではなかった。

仲間と共に空き家を改修
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「横須賀という町は、魅力しかないんですけど、たぶん住んでいた人たちが『こんなに魅力ある』と(分かっている)人は少なめ」

 室井さんは、住民たちが気づいていない谷戸の魅力を伝えたいと考えた。その魅力とは…。

「僕の中で不便だから、人が仲良くなると思っていて」

“不便さから生まれる人との近さ”がある
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 坂道が多く、車も入りにくい。だからこそ、声を掛け合い助け合う。谷戸での生活を通して室井さんは“不便さから生まれる人との近さ”があると気づいたという。

 その魅力を伝える場所として空き家を活用しようと考え、去年、仲間と株式会社「やとと」を設立した。

コミュニティーの再構築目指す

 谷戸の地域住民に必要な暮らしを考え、現在3軒の空き家を再生させているが、その活用は家そのものの使い方を見直すことだった。

「新しい暮らし方。豊かな暮らし方の一つ」
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藤原さん
「1つの家に1人で住んだり、1家族で住まなくてもいいという見方の転換。キッチンがある場所で、みんなでご飯を食べたらいいし。ここは本があるので書斎みたいに本を読む場所があったらいい。この地域の中でそれ(家)をシェアして暮らすというのも、新しい暮らし方。豊かな暮らし方の一つ」

 それぞれの空き家に役割を持たせ、地域全体でシェアする。街を一つの大きな家として使う。それが「やとと」が描く新たな暮らし方だ。

 横須賀市も「やとと」の取り組みに、期待を寄せている。

横須賀市都市部まちなみ景観課
牧野颯紀さん

「良い形の事業だと思っていて、点だったものが今、線でつながろうとしている。谷戸全体でコミュニティーを活性化させてくれているような事業」

 横須賀市は、空き家を拠点にした地域コミュニティーの再構築を目指しており、補助金で活動を後押ししている。

横須賀市は補助金で活動を後押し
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 不便な町に価値を見いだす。「やとと」が目指すのは、空き家の再生だけではなく、谷戸のコミュニティーの再構築だ。

室井さん
「みんな笑顔なので、谷戸の力だよねって、若い子たちも谷戸の魅力に気づいてほしい。伝えられるかな」

空き家に「役割」

 室井さんたちが取り組む空き家の活用の目的は、空き家それぞれに役割を持たせることだという。

3軒の空き家の再生に取り組んでいる
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 現在、室井さんたちの会社「やとと」では、3軒の空き家の再生に取り組んでいる。1つ目が「ものづくりを行う家」、2つ目が「人が集い交流する家」、そして3つ目が6月に開業する「谷戸に泊まれる民泊の家」だ。

再生空き家の役割
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 こうして再生した空き家に「役割」を持たせて、地域全体でシェアすることで、室井さんたちには、現在住んでいる地域の人たちの交流を活性化させたいという狙いがあるそうだ。

 さらに地域の魅力を高めることで、民泊に泊まった人が「この街に住んでみたい」と移住を考えるきっかけになればと話している。

“逆転の発想”で再生

 このように、横須賀市をはじめ多くの自治体で空き家の有効活用を模索しているが、中にはまさに逆転の発想で、空き家を貸したい人と借りたい人をマッチングするサービスがある。

「さかさま不動産」
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 その名も「さかさま不動産」。通常、空き家を貸したい人が物件情報を公開し借り手を探すが、「さかさま不動産」はその仕組みが“さかさま”になっている。

 まず、空き家を探している人は物件を利用して「〇〇の店を開きたい」など、自分の夢をサイト内に掲載する。

これまでに43件のマッチングが実現
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 それを見た空き家の大家さんが「この人なら貸してもいい」と思ったら、「さかさま不動産」がマッチングしてくれる仕組み。2020年にサービスを始めて、これまでに43件のマッチングが実現したという。

サウナ付き宿泊施設や森の中の貸し切り施設も
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 例えば、コロナ禍にサウナにどハマりし、IT企業を退職。東京・青梅市にサウナ付き宿泊施設をオープンさせた2人。

 「大自然の中で思いっきりピアノを弾きたい!」という思いから、長野県の森の中に貸し切り施設を作った薬剤師の女性。

水谷岳史さん
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 さらにアメリカ人の夫婦は、日本の文化を体験しながら、滞在できる場所を探していたところ、京都で3階建ての一軒家が見つかったそうだ。

 「さかさま不動産」代表の水谷岳史さんは「空き家が多いことをネガティブに捉えるのではなくて、何かやりたいという人に、多くの物件が集まってくるというような社会を作りたい」と話していた。

(2026年5月26日放送分より)

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