観客のボルテージが最高潮に達したのは、勝負の行方を左右する第4セットでの一幕だ。1セットを取り返して勢いづくロワイエが猛攻を仕掛ける中、ジョコビッチは驚異的なカバーリングで忍耐強くボールを拾い続ける。そして、ロワイエがライン際を射抜く渾身のストロークを放った直後、体を限界まで大きく伸ばして見事にこの強打を打ち返してみせた。
絶対に決まったはずの決定打を拾われたロワイエは、思わず天を仰いで両膝から「ガックン」と崩れ落ち、『それは無理だって…』と訴えかけるような呆然とした表情を浮かべた。
対戦相手の戦意すら喪失させるほどの超人的なディフェンスを見せた一方、ポイントを奪ったジョコビッチは腰に手を当て、堂々たる貫禄の“ドヤ顔”をコート上で披露。このあまりにも対照的な両者の姿と、39歳とは思えない驚愕のスーパープレーに、客席からは大歓声が巻き起こった。灼熱の赤土のコートを瞬く間に熱狂の渦へと巻き込んだ絶対王者。過酷な環境下で見せた圧倒的なプレーは、また一つパリの観衆の脳裏に焼き付く名シーンとなった。
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