
今、日本海でイワシが異例の豊漁となっていて、漁師たちが「イワシ御殿が建つ」と話をしているそうです。さらに、イワシを餌(えさ)にしているクロマグロも豊漁となっていますが、漁獲枠の上限が近づいて網にかかったマグロを逃がすという事態が起きています。
「例年の倍」漁に同行
午前1時半、能登半島中央部に位置する石川県七尾市。漁港には早くも漁師たちの姿がありました。
鹿渡島定置 酒井秀信取締役社長
「(Q.毎回こんなに朝早い?)通常は午前3時出港。今はイワシが多いので選別に時間がかかり、通常よりも1時間早い」
いつもより早い午前2時に港を出て15分ほど船を走らせると、イワシがいる定置網に到着しました。
「(Q.(イワシがいるか)分からないですね)水面上は分からない。網を持ち上げないと」
「ここが入り口で、入り口から向こうのほうに魚を追い込んでいく」
徐々に網を引き揚げていくと、水面の至る所にイワシが。
定置網の範囲が徐々に狭くなり追い込まれていくと、イワシが姿を現し始めています。
漁船に次々と引き揚げられているのは銀色に輝く、おびただしい数のマイワシ。
鹿渡島定置 漁師
「多い」
鹿渡島定置 栗原智章漁労長
「例年の倍くらいとったのかな」
今年、石川県内ではマイワシが異例の大豊漁。県内のマイワシの4月の水揚げ量は統計開始からこれまで最も多かった2018年3月の約6900トンを大幅に上回る約1万トンにまで。
鹿渡島定置 漁師
「今年すごいとれてる。量が多すぎる。本当にうれしい」
「御殿建つ」臨時ボーナスも
この4日後の漁でも…。
酒井取締役社長
「結構とれました、満船。まだたくさんいるけど、これ以上は積めない」
連日、イワシが大豊漁。
この日(11日)だけで約20トン。売り上げにして200万円ほどだといいます。
「値段がすごく高くて、例年の2倍半くらいの売り上げ」
これまで経験したことがないほどの豊漁に、漁師たちの間ではこんな言葉がはやっているといいます。
「『マイワシ御殿』という言葉がはやってます。マイワシが非常にたくさんとれて、値段が高くて漁師たちが潤っている。『今年は家でも新築しようかな』とかね」
今年のイワシは「豊漁」に加えてサイズも例年より一回り大きく、太平洋側ではイワシが不漁となっていることもあり、地元の卸売市場では例年の2~3倍ほどの価格に上がっているといいます。
突然訪れた“イワシ景気”に、定置網漁船の酒井代表取締役社長はこう話します。
「例年だと3月4月で(売り上げ)3000万円。今年は7000万円。(漁師たちに)3カ月分のボーナスを出しました」
鹿渡島定置 漁師
「おかげさまででかい賞与をもらって最高の年。近年にない最高の年」
「ここの会社で本当に良かったです」
酒井取締役社長
「この漁場を経営して35年近くになるけど、これだけ売り上げたのは初めて。このままいくと約1億円になると思います。夏のボーナスも頑張って上げようかなと思っています」
クロマグロも異例の豊漁
日本海沿岸に現れたマイワシの大群。その影響は新潟県・佐渡島の定置網漁にも。
次々と揚がる巨大マグロ。例年、佐渡では6月ごろからマグロのシーズンを迎えますが、今年は早い時期からマグロがとれ始め、異例の豊漁に。
前日に仕掛けていた定置網を巻き上げると、大量のマグロがかかっています。
この日、水揚げされたクロマグロは15本。中でも一番の大物が190キロ。
内海府漁業生産組合 黒姫漁場
伊藤俊之漁労長
「これが一番大きい。きょうイチ」
「150キロも当たり前になってくる」
しかし、あまりにもとれるので思わぬ事態も。
内海府漁業生産組合 本間信俊組合長
「漁獲制限がありますから、とってはダメだというのがありますので」
決められた漁獲枠の9割を超えたため、とれたマグロのほとんどを放流していましたが、それでは追い付かず、先日3つの定置網のうち2つを撤去、漁業関係者からは困惑の声も…。
本間組合長
「こんなに頻繁に入るのは本当に異常」
うな丼大幅値下げで大行列
豊漁の“異変”は高級魚のウナギにも…。
開店前から行列ができているのは都内のうなぎ専門店「鰻のやどき」。
皆さんのお目当ては「うな丼」。通常2200円のところ、水曜と日曜はなんと1400円。800円も安く提供しています。
お店の大人気メニューは、国産ウナギ丸々1匹をぜいたくに使った「うな丼」。タレをまとったツヤツヤのうなぎが、ごはんを覆い隠すほど乗っています。表面はこんがり、中はふっくらやわらか。
お客さん
「おいしいです、元気出ますね」
「最高ですね」
「おいしいです、ふっくらしてて、香ばしくて」
それにしても一体なぜ、800円も安く提供できるのでしょうか。
鰻のやどき 秋山良仁代表
「ウナギの仕入れ価格自体が下がっている。生きているウナギの状態で、(去年から)1キロあたり2000円は下がっています」
ここ数年、価格が高騰していたウナギ。ところが、ウナギの平均卸売価格が去年の9月以降下落。今年4月の東京の市場での卸売価格は去年と比べて4割以上も安くなっています。
ウナギいつまで安い?
この店のウナギの養殖場へ向かいました。
イールフードサービス 齋藤靖将営業本部長
「これがクロコですね。シラスと呼ばれる(ウナギの)稚魚を我々が買い付けしているが、これで4~5週間ぐらい(経った状態)。(全長)10センチぐらいですね」
餌に群がる小さなウナギ、このいけすだけで1万5000匹。
一体なぜ、今ウナギの卸売価格が下がっているのでしょうか。
秋山代表
「(ウナギの)稚魚ですね。2年連続でたくさんとれています。(稚魚の価格が)ピーク時から考えると8分の1ぐらい安くなります。去年、稚魚がたくさんとれたので、それが今育ってお店で(安く)出している」
ウナギの価格が下がったワケは「稚魚の豊漁」。
実は、国産養殖のウナギのほとんどは国内の河口などで12月~4月にとれた「シラスウナギ」というウナギの稚魚から育てられたもの。
このシラスウナギの価格が下落したため、成長したウナギの販売価格も下がっているのです。
こちらの会社「イールフードサービス」では山梨県内4カ所で、合わせて約55万匹のウナギを養殖。一日に与える餌は1トンに上るといいます。
齋藤営業本部長
「ウナギはストレスに弱くて死んでしまうことも当然ある。体調管理、水質管理そして温度管理。当社としては24時間365日、毎回巡回をしながら検査しているのが大変といえば大変」
今年も稚魚が豊漁ということですが、この価格はいつまで続くのでしょうか。
秋山代表
「11月までは続けます。(国内は12月から)稚魚の漁が始まるけれども、それまではお安く提供しようかと考えています」
さらにウナギを巡っては画期的な出来事が。
山田水産 山田信太郎社長
「世界初の完全養鰻(ようまん)の試験販売は、私たちにとってゴールではなくスタート」
(2026年5月29日放送分より)
この記事の画像一覧
