この現状を受け、メディア運営に携わった経験もある滝川氏は、UI悪用広告による短期的な利益追求がもたらす懸念点を次のように解説し、警鐘を鳴らす。
「短期的にはクリックを稼げるので広告が回っているように見えるかもしれないが、悪質な広告で溢れているメディア空間に、消費者はだんだんうんざりしてくる。『このメディアには行かないようにしよう』となるだろう」(滝川麻衣子氏、以下同)
「広告で短期的に稼げていたかもしれないが、上質な情報空間自体が壊れていってしまうため、最終的にはユーザーが信頼できるメディアや情報発信媒体が減っていくことが起きてしまう」
ではメディア側が悪質な広告を排除し、適切な広告を選択することはできないのだろうか。滝川氏はウェブマーケティングの世界におけるステークホルダーの複雑さを指摘する。
「メディア側がすべてをコントロールできるわけではない。広告主も枠だけを買い、AIのアルゴリズムがユーザーや表示回数を選んでいる。そこを統合しているルールや市場のモデルが健全に確立されているわけではない」
さらに、滝川氏は、「情報は無料」の意識が、この問題を加速させていると分析する。
「良質な情報が欲しかったら『お金を出してメディアを買ってください』となるだろうが、ほかにも無料のものがたくさん存在している。結局、無料のものを維持しようとすると、ダークパターン広告を使う方が効率的で収益性が上がるというところに陥ってしまう構図だ」
「インターネット空間は無料でいろいろな人に民主的に情報を届ける場ではあったが、無料の代償はやはりある。結局、誰しもが平等に民主的に情報を得られる空間は幻想だったというところに、至りつつあると思う」
ダークパターン問題に国の対応は?
