
2022年にChatGPTが登場してから、本格的な生成AIの時代が到来。ただ、日本企業の生成AIの利用率は海外と比べると低いのが現状です。今回はAIを中心にサービスを展開する日本企業を取材しました。
採用現場に広がるAI面接
小野田紀美経済安保大臣
「政府としては、当面1兆円超えをAI関連施策の推進に投資することとしています。これを呼び水にした民間投資も期待しています」
政府は2030年度までに、AI関連に10兆円以上の公的支援を実施します。民間でも、ソフトバンクがアメリカにAIデータセンター建設のため80兆円を投資。日本で1億ユーザーを突破したLINEには、4月、新たなAIサービスが搭載され、より生活を便利にしています。
ただ一方で、外国と比べると日本企業の生成AIの利用率は低いというのが現状です。そこで、今回は新卒採用の1次面接をAI面接にする企業などを取材しました。
佐々木若葉アナウンサー
「ここ最近、新卒採用の1次面接をAI面接にする企業が増えているということで、私は入社して2年目で、3年前に面接を受けたばかりではあるんですけれども、中途採用ということで今回AI面接にトライします。では、早速入室します。緊張する。すごい。AIの面接官が目の前にいます」
AI面接官
「仕事をするうえで、大切にしていることは何ですか?」
佐々木アナ
「私は常に周りをよく見て、何かこう相手のためにいいことができないかと常に考えることを大切にしています。どうやったらもっと相手が楽になるか、もっと楽しくなれるかということを考えるようにしています」
AI面接官
「具体的に、どんな場面でその気持ちが特に強く出ることがありますか?」
佐々木アナ
「取材に行った時は初めての方とお会いすることも多いので、取材に協力してくださったことを後悔させないためにも、丁寧に相手へのリスペクトを持って接することを心がけています」
去年の調査によると、AI面接の経験があると答えた学生は全体の約3割です。約8分の面接が終了しました。その感想はどうだったのでしょうか。
佐々木アナ
「初めてAI面接をやったんですけれども、やっぱり対面の面接よりは少しハードルが下がるというか、どこかに行かなければならないということで、その環境に慣れていなくて緊張してしまうことが私は多々あったので、どういったところでもできるというのはすごくいいなと思います」
企業が注目 “面談”への応用も
続いて向かったのは、AI面接を開発した企業です。
佐々木アナ
「新宿にAI面接を開発した企業があるということでやってきました。私のAI面接の結果が気になります。どうなっているんでしょうか。早速行ってみましょう」
去年からこの事業をスタートしたPeopleXです。提供するサービスの導入企業はグループ全体で累計3000社を超えました。その業種は、ご覧の通りさまざまです。
佐々木アナ
「そもそも、なぜAI面接を開発しようと思ったんですか?」
PeopleX代表取締役 CEO
橘大地さん
「日本の採用システムにちょっと怒りがあってですね」
佐々木アナ
「怒り?」
橘さん
「採用って、まず7割の方が書類で落とされてしまう。どんなに熱意があっても、どんなに能力があっても、そこにたどり着く前に終わってしまう。そんな悲しいことはないと。AIと対話して『こんな気持ちがあります』とか、『自分はこんな性格してます』とか、そういう人柄とか能力に基づいて選考が進むといいなと思いまして、AI面接を開発しました」
それでは、AI面接ではどんなことが分かるのでしょうか。
佐々木アナ
「評価がすごく気になるんですけれども、教えていただいていいでしょうか」
橘さん
「今回、B判定の73点という形なんですが、全体でいくとマーケットの中で上位10%の人という高い評価になっている」
佐々木アナ
「うれしいです。良かったです」
橘さん
「褒められているのは、相手の思いやりとか敬意を大切にする姿勢が印象的で、きっと責任感もある人材なんじゃないかという」
なんと、AIによるまとめのレポートがぎっしりあります。さらに細かい項目の評価を見てみると、次のような結果でした。
橘さん
「アナウンサーとして必要な能力の言葉遣い、マナー、ここが最高得点になっていますので、きっとこの人材はアナウンサーに向いている」
佐々木アナ
「うれしい。良かった。(スタジオの先輩アナウンサー)坪井さん、私、うれしい」
橘さん
「一方でですね、論理性とか66点という形で」
佐々木アナ
「具体的に、論理的に」
評価項目に関しては、何をどの程度重視するかを企業ごとに変更可能で、採用したい人材に合った面接を設定できます。対話型AIは営業練習などにも対応でき、使い方は採用だけではありません。
この会社では、週に1回10分ほど、全社員がAI相手に面談を行っているということです。その効果を社員はこう話します。
PeopleX専門役員
砂田滋弘さん
「一番大きいのが上司、私の場合、代表になるんですけど、直接話すとなかなか言いづらい部分がAI相手だと逆に気を遣わずに話せるというのが一番大きなポイント」
そのイメージは、こんな感じです。
AI面接官
「今後チャレンジしてみたい業務や役割はありますか?」
飲食店スタッフ
「はい、フロント業務が慣れてきたので、今後は調理もやっていきたい」
砂田さん
「組織やチームの方針で悶々としていたところ、AIに壁打ちしていたら代表が拾ってくれて。結果的に、壁打ちが深くできたのが良かったかなと思います」
橘さん
「AIを使うということが、働いている従業員の皆さまにとってまだまだ不安があるという会社さんもいらっしゃるのですが、ちゃんとこうやって人間が面談をもっとよくするために使ってるんだよとか、経営者が従業員のために使っているという姿勢を示せば、もっとAI活用が進むんじゃないかなと思います」
ホテル採用と画像生成でも活用
続いては、実際にAI面接を取り入れている企業を訪ねました。
佐々木アナ
「さあ、こちらが実際AI面接を取り入れている企業ということで、お邪魔します。スーパーホテルさん。こんにちは。すごい皆さん笑顔で迎え入れてくださっています」
国内178店舗、海外に2店舗展開するホテルチェーン「スーパーホテル」です。まさに、来年3月に卒業する人材の採用を継続中だといいます。
スーパーホテル 上田大貴さん
「弊社は例年、200名以上の方が1次選考にいらっしゃる。お互いに大事にすることを確かめていくのを大事にしている。すべて個人面接でしています。1人あたり1時間ほどかかりますので、単純に200時間かかっていることになります。時間が削減されるというところがメリットかなと思います」
これまで1次選考の対応に週10時間ほどを要していましたが、AI面接に切り替えたことで2~3時間に短縮。約8割もの工数削減に成功したのです。そして、人材目標にのっとって、「感謝」の項目を大事に、オリジナルの質問を盛り込み、1人30分ほどのAI面接を設定しているとのことです。
上田さん
「大事なのは1次選考の内容を2次選考の面接者に引き継ぐというところも、結構工数がかかりますので。AI面接にすれば、評価シートでばっと出てきますので、そういった所感を入力して共有するという手間も省けるというところがいいところかなと思っています」
佐々木アナ
「続いてAIといえば、画像生成を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?ですが、なかなか思い通りの画像ができないということも多いと思います。そんな悩みを解決しようとする企業を訪ねます」
一般的にAIで画像を生成する際は、プロンプトという指示を書かなければいけませんが、なかなか初心者にはハードルが高いこともあります。そこで、アパレル事業などを営む一ノ瀬さんが開発したのは、細かな指示がいらないAIソフトです。試しに、佐々木アナウンサーの写真を撮って…。
丸一 代表取締役社長 一ノ瀬広行さん
「生成ボタンを押します。そうすると、トップスが物撮りの状態になります」
佐々木アナ
「すごーい!」
トップスだけが抽出されて、まるで洋服ブランドのホームページのようです。
佐々木アナ
「『Good!いちおし』のスカーフも一緒に」
一ノ瀬さん
「そうですね」
さらに、色違いも数タップで抽出できるのです。なぜ、このソフトを開発したのでしょうか。
一ノ瀬さん
「うちは工場なので、工場の受け手としては『こういうものを作りたいんだな』っていうのが、画像で見て分かる。今までは『どうしてもこういうのを作りたいんだよね』って聞いても、『どういうニュアンスなんだろう?』とか結構あったんですけど。それが、やっぱり画像で提案していただけると、よりパタンナーも分かりやすい」
この会社が展開するサウナブランドでは、商品画像をもとに、実在しないモデルの着用画像を生成し、商品の販促画像を作っています。
新商品の撮影は、カメラマンや照明、モデルの費用など約20万円かかるとのことですが、このAIソフトの使用料金は月に3万円。1000枚まで画像が生成できるといいます。
ほかにも、コーディネートをイメージしたい時は、希望のアイテムをソフトに入れると、あっという間にフィッティングが完成し、参考にすることができます。
一ノ瀬さん
「次、何かデザインをしていただきたいんですけど」
佐々木アナ
「デザインもできるんですか?」
一ノ瀬さん
「いろいろ」
佐々木アナ
「緑色のノースリーブのワンピース」
待つこと数秒です。
佐々木アナ
「すぐできた。かわいいこれ、欲しいです」
先ほどの佐々木アナウンサーの写真と組み合わせると、着た感じも画像で見られます。髪型も自由自在ということです。
(2026年5月22日放送分より)
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