さらに、澤田氏が作るケーキを取り巻く事情は少し特殊なようだ。オンライン販売で1年待ちとなっており、予約で販売済みの本数は1万本にのぼる。5月に価格改定を実施したものの、改定前に予約された分については当時の販売価格のまま配送しなければならない。
現状、1日に最大20本しか作れない中で、店としては「今後さらに資材価格が上がる前に1本でも多く配送したい」と考えているそうだ。
先々の分まで予約が入ることが、逆に経営を圧迫してしまう懸念もあるようだ。この状況について、ニクヨ氏は次のように指摘する。
「デフレの時代であれば、1年先の物の値段があまり上がらないだろうということで、1年前の予約も受付OKだったかもしれないが、これからインフレが続いていろいろな物の値段が上がっていくことを考えると、予約の期間を見直しをすることも必要かもしれない」
「言ってみれば1年先のケーキの先物取引みたいな感じになっちゃっている。かといって、燃油サーチャージみたいにケーキサーチャージなんて聞いたことないですからね。でも、やっぱり過度に長期な予約を受けるのはやめる方向にいった方がいいかもしれない。インフレの時代になったというマインドセットも経営として必要なのではないか」
物価高騰が続く中、従来通りの長期予約というサービスが思わぬリスクを生む時代となっている。経営側にとっても消費者にとっても、インフレ社会に適応した新たな意識改革が求められているのかもしれない。
(『わたしとニュース』より)
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