■合意形成にも課題
未成年時の出演作に対する救済について、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「未成年の場合、間違った判断をしてしまうことはあるので、大人になった時に『やっぱり嫌だ』と、モザイクをつけてと請求して、その費用を自分で払うような救済措置はあった方がいい」と一定の理解を示した。一方で、「出演したのが成年でも『嫌だった』で、いくらでも差し止められると、契約社会自体成立しない」と懸念を示した。
一方、ジャーナリストの堀潤氏は「どの時代であっても、嫌な時に嫌だと言える仕組みをこれから作るべき」と反論。「大人だから、1回飲んだ(契約)ものに反論するべきではない、差し止める権利がないという風潮の方が怖い」と述べ、社会で再議論するチャンスを奪うべきではないと主張した。
フリーアナウンサーの東留伽氏は、「当時、ヨーロッパには性の監視が権力につながるからと、タブー視されていた性の解放をどんどんやろうという背景はあった。ただ、
好んで主体的に『裸の子役をやります』と言う子どもはいないし、ある種の犠牲者でもあった。大人になって振り返った時に、辛かったことを今後のために世間に表明したいと思うのは自然なこと」と当事者の心情に寄り添った。
またデジタル社会での情報の残存性について、構想日本・理事の伊藤伸氏は「昔契約した人は(今になって)まさかこんなにSNSに乗っかると思っていない。一旦契約はしているけれども、状況変わったから全部契約を破棄するのではなくとも、何かを言う権利はあってもいいのでは」と言及した。
議論は撮影現場の実態と合意形成のあり方に及んだ。町山氏は、インティマシー・コーディネーターの必要性について「一番大きいのは、撮影現場で約束が破られることが多いから」と指摘した。映画「ラストタンゴ・イン・パリ」を例に挙げ、「撮影の時に、恐怖感を出したいからと、女優のマリア・シュナイダーに何も知らせず、俳優のマーロン・ブランドが、レイプするようなことがあった。それによってシュナイダーは、完全に素の状態で拒否しているシーンを撮っていた」と現場の危うい実態を解説した。ただし、現在の欧米の厳格な規制にも言及。「アメリカとヨーロッパでは児童ポルノ認定されると、当事者と関係なく永遠に見れないものになる」とし、主演女優が母親を訴え映画自体が完全に消滅した「春の森」の事例などを紹介した。
また性的描写に限らず、差別表現など時代で変化する価値観をどう過去の作品に適用するかも検討された。黒人奴隷を持つ生活を美化して描いた映画「風と共に去りぬ」が一時配信停止となった後、現在は歴史的背景を解説する注釈付きで視聴可能となっている事例が紹介された。町山氏は問題作の取り扱いについて「完全に作品を消してしまうと、それ自体がどう問題だったか検証できなくなるので、作品自体の完全な消滅には問題がある。何らかのゲートを設けてしか見られないような形が必要だ」との見方を示していた。
(『ABEMA Prime』より)

