【報ステ解説】首都モスクワにも着弾…なぜ可能に?ウクライナ“過去最大”の攻撃

【報ステ解説】首都モスクワにも着弾…なぜ可能に?ウクライナ“過去最大”の攻撃
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アメリカとイランが停戦へと歩みより、世界が一息ついたのも束の間、ウクライナがロシアに対し、過去最大規模の攻撃に出ました。モスクワ中心部から15キロほどの所にある石油の精製施設は攻撃によって炎上し、激しく黒煙が上がりました。ロシアに対して一気に攻勢に転じたウクライナの狙いとは。

【報ステ解説】首都モスクワにも着弾…なぜ可能に?ウクライナ“過去最大”の攻撃

モスクワ
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黒煙に包まれ…対象はロシア全土か

CNN
「重要な石油精製施設も標的となり、今週だけで2回目の攻撃です。ウクライナによるロシア全土への大規模攻撃の一環とみられます」

荒木基モスクワ支局長
「モスクワ中心から東に来るまで10分ほど走ってきました。街の中からも石油施設の方角から大きな黒煙が見えています」
「ドローン攻撃を受けたとみられる石油施設の近くです。黒煙が濛々と立ち上っています。時折、焦げ臭いにおいも漂っています。モスクワの郊外でも戦争の影響が実感できるようになってきました」

モスクワ市内にある石油関連施設が18日に攻撃を受けました。ロシアの国営メディアすらも「モスクワに対する攻撃では、ここの2年間で最大規模」としていて、全面侵攻が始まって以来、この4年余りでウクライナ側による最大の攻撃だったことは間違いないようです。

モスクワ
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荒木基モスクワ支局長
「石油施設の入口の前を車で走っていますが、すごい煙です。時折、焦げ臭いも感じられる。ただ、隣の道路では普通の市民生活が続いています。道路にはいつものように、車が多く走っています」

タンク
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立ち上る黒煙は雨雲の高さにまで達していました。着弾時の映像を見ると、タンクに当たったのか、上部がかなり高く吹き飛んでいるのが分かります。施設内の被弾は6カ所に上るといいます。

モスクワ
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そしてこの日の攻撃は別の場所にも。

ゼレンスキー大統領
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ゼレンスキー大統領
「これはロシアによるウクライナの街や地域社会への攻撃に対する当然の報復であり、我が軍による大きな戦果でもある」

占領地ではガソリン不足も

ウクライナはここ最近、ロシア領内の石油関連施設への攻撃を立て続けに行っています。ロシア国防省はこの日「900機以上のドローンを撃墜した」としています。16日にもドローン60機を使い、航空燃料などを扱う石油関連施設を破壊したばかりです。

モスクワ
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ロシアの戦費を支え、戦時経済を回す源泉になっている石油。そこへの攻撃の効果は着実に出ています。

GD&TD
「ロシアの約10地域から燃料不足の報告が出ている。ドローン攻撃によって生じた燃料不足に対処するため、ガソリンを輸入する計画を立てている」

ガソリンスタンド
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ロシアが占領しているクリミアで先週撮影された映像。ガソリンスタンドには長い行列ができていました。

英王立防衛安全保障研究所 セスクリア上級研究員
「ウクライナ側には軍事的には重要です。侵攻を続けるロシアの継戦能力に大打撃を与える上で、自国の戦力を戦略的に行使できることを示しています」

独自進化…AI搭載ドローンまで

ウクライナはこの1年、ロシア領内への直接攻撃を行ってきました。着実に反転攻勢の起点となっていますが、それを可能にしているものは何なのでしょうか。

ウクライナ保安庁YouTube
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ウクライナ保安庁YouTube
「FPVドローンをロシアへ送り、モジュール式の家屋に隠した」

当初行われていたのは、ロシア領内にドローンを運び入れ、攻撃対象に限りなく近付くという戦法でした。しかしここ最近では、ロシアの防空システムを物量で圧倒させる戦法です。CNNが先月報じたのは…。

CNN
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CNN
「ロシア領内を飛行するウクライナのドローン群。画面ではAIが算出した座標が猛烈な速さで明滅している」

CNN
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取材したのはウクライナ国内で展開するドローン部隊です。約400キロ先の目標を攻撃しています。まず飛ばすのはロシアの防空システムを無効化させる囮(おとり)のドローン。

ドローン
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ウクライナ 国防省情報総局長
「爆薬を積んだ機体を混ぜて、数百機の囮を飛ばしている。爆薬は少量でも防空システムを破壊するには十分だ」

そして実際に爆撃を行う攻撃型ドローン。さらには撮影用のドローンと、数十機を同時に操作していました。

ウクライナ 国防省情報総局長
「ロシアが我々のシステムを破壊できないのは、集中司令部を持たず、各所に分散しているからだ」

CNN
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可能にしたのは、自国で開発生産したドローンと、スターリンクやAIといったアメリカの最新技術でした。ただ懸念もあります。戦況が変わりつつある中、アメリカがこうした支援を打ち切る可能性はぬぐいきれません。

トランプ大統領
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アメリカ トランプ大統領
「我々の関心はイランで、ウクライナは二の次だ。そもそも我々は当事国でなく、武器を売るだけ。はるか遠くのウクライナ戦争は、我々に何の影響もない。ただ、毎月2万5000人の若い命が失われるのは見過ごせない。私としては手を尽くすつもりだ」

“クレムリンから15キロ”の衝撃

ロシア情勢に詳しい、防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.このタイミングでの首都モスクワへの攻撃をどうみる)

兵頭慎治さん
「これまでもウクライナはモスクワのみならず、ロシア全土に対するドローン・ミサイル攻撃を続けてきました。今回、ゼレンスキー大統領は、勝負に出てきた感じがします。というのは、ドローンの技術が進化して大規模な攻撃ができるようになったこともありますが、もう1つは政治的なタイミングもあると思います。イランとアメリカで戦闘停止に関する覚書が結ばれた。そして、G7でもゼレンスキー大統領はトランプ大統領と直接会談し、イランが収束した上で、トランプ大統領をはじめ、G7の関心をウクライナに引き戻して、支援を強化したい思いがあります。戦況はウクライナに有利な状況にあるとアピールしながら、ウクライナ問題に対する国際社会の関心を喚起したい狙いがあると思います」

実戦もとにドローン技術向上

ウクライナから首都モスクワまでは500キロ以上離れていますが、ロシアメディアによると、16日にはウクライナのドローン60機をロシアの防空システムが撃墜。18日には992機のドローン、さらに長距離ミサイルなども撃墜したとしていますが、撃墜しきれなかったドローンが、モスクワ近郊の石油関連施設を攻撃したことになります。この施設は、クレムリンからわずか15キロほどの距離にあります。また、近くのショッピングセンターにもドローンの破片が落下し、火災が発生したということです。

ウクライナ
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(Q.ウクライナのドローン技術は進歩している)

兵頭慎治さん
「ウクライナ戦争は5年目に入りましたが、この期間、ウクライナは実戦経験を元に、ドローンの改良を積み重ねていて、そのスピードも極めて早いです。場合によっては数週間で新しくバージョンアップしたものを開発・生産するところまでこぎ着けています。世界最高水準のドローンの開発・生産国になっていると思われます。ウクライナのドローンはこれまで、ロシア国内の民間通信網を利用しながら遠隔操作をしていました。それに対してロシア側は電波妨害のほか、国内の通信を規制・遮断しながら、ドローン攻撃を避けてきました。ただ、ウクライナは最近、GPSを使ったものや、AIを投入して自律飛行ができるものまで投入していいて、飛行距離も伸び、ピンポイントの精密攻撃ができるようになってきています。そのため、モスクワへのドローン攻撃が激化していく可能性があります」

(Q.ロシアの防空システムではドローンを防げなくなってきている)

兵頭慎治さん
「5月9日の対独戦勝記念日、赤の広場での軍事パレードも、ドローン攻撃を恐れて規模を縮小しています。この時はモスクワに防空体制を集中させたと思いますが、今はモスクワが手薄になっている可能性があります。今回は1週間に2回、同じ石油施設がウクライナのドローンに攻撃されています。ロシアは通信規制を強めていますが、若い人たちはスマホなどがないと生活ができなくなってきます。こうした通信規制の観点からも戦争を肌身で感じ始めている。ここもウクライナの狙いだと思います」

(Q.ドローン戦においてはウクライナが有利。それは今後の戦況にどう影響してくる)

キーウ
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兵頭慎治さん
「現代戦はドローン戦なので、まずここで主導権を握ることが重要になります。ただ、それで戦争を勝利に導くことができるかというと、ロシアに占領された地域を奪還するとなると、ドローンだけではできません。歩兵も投入した形で、前線での領土奪還を行わなければいけません。ただ、ドローン戦で主導権を取らなければ、その先もないので、ウクライナとしてはドローン戦においてロシアを制する動きを強めているんだと思います」

全面侵攻から4年超 見通しは

(Q.ウクライナが領土を奪還して終戦するためのカギは)

兵頭慎治さん
「ウクライナとロシア、当事者同士の交渉は難しいと思います。ゼレンスキー大統領も呼び掛けましたが、プーチン大統領は相手にしていません。やはりトランプ大統領による仲介が必要ではないかと。イラン問題でトランプ大統領のウクライナに対する関心が大幅に低下していました。今回、イランの問題が収束して、トランプ大統領の関心がウクライナに戻るのであれば、交渉の再開が期待されます。しかし、イラン情勢が本当に落ち着くのかどうか。ウクライナの停戦交渉が復活するかどうかは、そこにかかっていると思います」

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