■テレビを見ないことで共通の認識・記憶がなくなる?
番組では、リアルタイムでの同時視聴が減少することによって引き起こされる、社会的な文化の変化についても議論が交わされた。
パックンは、誰もが同時に同じ番組を視聴するスタイルが崩れることへの懸念を表明した。「ネット配信の利便性は重要だが、一斉配信されるテレビだからこそ可能だった国民の共有文化や共通する価値観が薄れていくことが心配だ。それぞれが見たいものだけをバラバラに消費するようになれば、社会全体で共有できる話題がなくなってしまう。翌日職場などで『昨日のあの番組見た?』と言い合えるような体験こそが、国民が一丸となり一体感を持つための極めて大事なツールだった」と語り、テレビが果たしてきた社会的統合の価値を強調した。
衆議院議員・門ひろ子氏も、この「世代間の共通記憶」という概念が喪失されつつある現状に同調した。「世代を超えた共通の記憶があることで、ある種の世代間の一体感が生まれ、それが日本社会の安定に大きく貢献していた。現在の30代付近の世代まではそうした共通記憶があるものの、20代以下の若い世代にはそれがほとんど見られない」と指摘。その上で、「共通の記憶を持たない人々が同世代として社会を構成していく時代において、かつてテレビが担っていたような社会統合を今後どのようなサービスが代替していくのかは、政治の視点からも大きな課題だ」と危機感をにじませた。
これに対し、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は、現代の若者における共通文化のあり方がテレビから完全に別の場所へとシフトしている現実を提示した。「今の若い世代の文化的な共通点は、もはやテレビではなく『アニメ』。人気ドラマは人によって見る見ないが分かれるが、話題のアニメに関しては、非常に多くの若い世代の話題になっており、さらには世代の壁を超えて幅広く見られている。社会的な共通記憶を構築する機能そのものが、すでにテレビという装置ではない、ネットや別のエンターテインメントの領域で作られているのが実態だ」と反論し、テレビによる共通記憶の再生に固執する見方に疑問を呈した。
■アニメが好例 どこまで若者&海外向けに切り替えられるか
