■世界で10代のSNS利用禁止が拡大中
海外において若者のSNS利用を制限する動きが急速に広がっている背景について、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究所の花田経子氏は、「海外では性的画像の脅迫による自殺やSNSいじめなどの痛ましい事件が増えており、保護者から早期の対策を求める強い要望が寄せられている。政策として反映させる際、規制という形が分かりやすいことも一因だ」と説明する。
これに対し、日本の総務省の有識者会議は「一律の年齢制限は望ましくない」との見解を示しつつも、事業者に対する年齢確認の厳格化や青少年保護のための安全対策を検討している段階にある。花田氏は「一律の年齢制限より、安全に行動できる環境を先に整えることの方が優先事項だ」と日本の慎重な姿勢を評価した。
規制反対の立場をとるYouTuberのひまひま氏はインフルエンサーとして、総フォロワーは180万人を誇る。小学生時代から父親と活動を続けてきた経験を踏まえ、次のように主張した。
「YouTubeを始めたことで自分の強みができ、自信に繋がった。こうした可能性を減らしてほしくない。また、フォロワーから『生きる意味』だと言ってもらうことも多く、SNSはそうした居場所を見つけるためにもあっていい。いろいろな人と繋がれて、世界中に味方がいる感覚がある。ただし、小学生の頃に自宅が特定されて(呼び鈴を)ピンポンされたり、コメントで『家を燃やしに行く』と脅迫されたり、DMで長文の誹謗中傷を受けたりと、怖い経験もたくさんあった。そのためネットに投稿する際はファン以外も見る先の先の先まで意識し、何を言われてもいい覚悟を持つようにしている」。
同じく規制に反対する女子高校生社長の杉本りお氏は、ビジネスや経済の視点からSNSの必要性を強調する。
「私は動画編集とSNS運用の会社を経営しながらテニスプレーヤーとしても活動しているが、スポンサーが付いたのも人との繋がりが生まれたのもSNSがあったからこそ。現在は中高生が流行、トレンドを握って経済を回しており、もし一律に規制してしまえば情報を取り込めずに視野が狭くなるだけでなく、トレンドが生まれなくなって大人が困り、日本の経済に響くのではないか」。
一方で、インフルエンサーのまいきち氏は、11歳から10年間活動してきた自身の経験から、誹謗中傷などに悩んだこともあり、16歳未満の全面禁止を求める規制賛成の姿勢を示した。
「私自身、SNSのおかげで多くの人に出会えたメリットはあるが、メンタルが壊れたのはすべてSNSだった。当時は判断能力がつかないまま、何度も自分で命を絶とうとしてしまった。アイデンティティが形成される中高生の時期にSNSだけを見ていると、自分の好きな情報ばかりが流れてきて視野が逆に狭くなってしまう。また、オンラインでの会話が多すぎてオフラインのコミュニケーションが苦手になり、就活に響いている同世代も多い。子供を守るためにも一度SNSを禁止し、いろいろな世界を見てから高校生以降に利用する形が良いのではないか」。
■未成年を大人はどこまでサポートできるのか
