2000年代後半、Yahoo!ニュースはコメント機能に先駆けて、ニュースを見て「びっくりした」「悲しい気持ちになった」といった感想を選択できるレーダーチャート機能を導入した。これに対するメディア企業の反応について聞かれると「既存の情報提供元からの反発がすごかった。『ニュースをユーザーに評価させるとは何事ぞ!』というような」と、反発があったことを振り返る。。
当時の自身の心境については、Yahoo!ニュースに異動したばかりだったとした上で、『何でこの人たちは、こんなにも嫌がってるんだろう』と思ったし、ある種の傲慢さみたいなものがあると思った」と既存メディアの姿勢に疑問を抱いたと語った。そして「そうであるならば、フリーコメントで書けるようにした方が、世の中の健全化に繋がると思った」と、メディアの保守的なスタンスが、逆に意欲を搔き立てられたと話す。
レーダーチャート騒動から1年、フリーコメント機能の開発が始まった。ただ、社内外からは「情報提供元はもちろん嫌がった。ただ、実はYahoo!ニュース内部の編集の人たちも、抵抗を示した。当時のメンバーは既存のメディアから転職してきた人たちが大半だった。彼らにとっては”記事の神聖性”はすごくあるし、そういう意見を書かせ始めたら、もう記事が出せなくなるだろうという悪影響も含めて、社内的な反発もかなりあった」と振り返った。
メディア側が危惧したのは「記事の中身にケチをつけられるのではないか」というものだった。しかし、川邊氏は導入の狙いについて「書かれているニュースはファクト前提だった。記事の良し悪しとかではなく、内容について議論をする場にしたかった」と語った。
猛反発をどう乗り越えたか。「やっぱりユーザーファーストにしようという観点があった。ユーザーは望んでいるからと押し通した」と語り、理念を軸に半年以上の調整を進めたと明かした。
攻防から時が経ち今となっては、ヤフコメは多様な意見が行き交う巨大 なプラットフォームへと成長した。10年以上が経過し、一部には批判もあるものの、ニュースに関する様々な議論が今でも行われていると川邊氏は現状を評価する。コメント機能の実装が社会に与えた影響については「ニュースに対して、双方向性を生み出した。日本人の言論の質を上げたという意味では、やった甲斐もあったかなと思う」と語った。
(ABEMA『ふたりぼっちのアベプラ』より)
