■「現実から目を背けるためであれば依存」専門医が示す判断基準
早稲田メンタルクリニックの益田裕介院長は、AI依存外来を開設した経緯について、「AIを患者さんが使うようになっていた。年配の精神科医には分かっていない人が多くて、『使っちゃダメだよ』みたいな感じで終わってしまうことが多い」と説明する。AIをうまく活用する患者もいれば弊害が出る患者もいるとして、「お酒と似ていて、AIもうまく使えばいい、悪く使うとダメ」と語る。
益田氏はAI依存かどうかを見極める基準についても言及した。「現実から目を背けるためならば、それは依存。例えば現実的に嫌なことがあり、それを忘れたいからお酒を飲む、これが依存」と説明する。「仕事の問題を考えたくないからAIと会話する、仕事に行かずにAIを使うならば依存」と具体例を挙げた。
また、AIカウンセリングの効果についても「AIをカウンセラーに見立てて使うことで症状が改善するケースは、エビデンスレベルでもある」と認めつつも、「基本的に精神科的には、患者に『伴走する』という状況」と慎重な姿勢を示した。
益田氏が特に問題視するのは、AIの普及が人間同士の摩擦への耐性を低下させている点だ。「AIが心地いいから、相談もまずAIにするようになる。みんな自分は相談したいけど、重い話はされたくないし、聞いたら漏らしてしまうかもしれないから怖くて聞けない。そういう感じで摩擦がどんどん減っていって、その結果、人間同士の不快感に耐える能力が落ちている」と指摘する。
「AIを使うことによって摩擦のある人間関係を避ける人が増えている」と述べた益田氏は、この傾向が引き起こす帰結についても警告を発した。「ハードな仕事や交渉に耐えられなくなる。そうすると働けなくなり、引きこもりの予備軍が増えるのが一番の問題」と強調していた。
(『ABEMA Prime』より)

