「たまに来られるんですって、警察の方が。いわゆる捜査報告で。だけど結局、捜査報告だけされて、質問しても『答えられません』というのが続いたりとか。ご遺族の方からすると、県警本部長にお会いして陳情したい。ご遺族からすると藁にもすがる思いで。だけど警察からすると『何をうちのトップの……当たり前ですよ、そんなの無理』と言われたらしいんですよ。警察ばかり批判するわけでは決してないけれども、情報公開請求をしたら、いわゆる“のり弁回答”というか。(塗りつぶされて)真っ黒です。そこに不誠実さを感じるというか、なぜまたご遺族を痛めつけなきゃいけないのか。ただ知りたいだけなのに。実際に警察を囲むような取材に参加するようになって、質問を投げかけたら、歯切れの悪いことを知ってしまったわけですよね。知っていたわけじゃなくて」
──その歯切れの悪さというのは、どこから来ていると思う?
「メディアに囲まれて矢面に立ってしゃべる人というのは、当時は道路交通法違反なので交通課長なんですよ。かたや殺人事件だって主張している人たちがいる中で、対応して向き合ってる側は交通事故を処理する人たちがいる。それは、かみ合うわけがないですよ。知ってしまったことの事実が積み重なったことというのが、この事件の一端で学んだことというか、知ってしまったこと」
被害に遭った側が勇気を振り絞って立ち上がらないと、何も動かない実情を知った。加害者の権利は守られ、被害者の権利がないがしろにされている実態も知った。被害に遭った側が情報を集め、署名を集め、行動に出たからこそ重要指名手配に指定され、殺人容疑の追加も実現した。忘れてはならないのは、心の回復ができないままということだ。
──ここまでご遺族の方がやらなければいけないというのも、すごく大変ですよね。
「ご遺族の方もおっしゃっていたんだけど、近所で、例えば普通に居酒屋で楽しそうに飲んでいるのを見られたら、もちろんその人がご遺族のお母さんだって知らないにしても『どう思われるか』ということを感じてる。ご主人と家で2人でお話をさせてもらった時に、終わってカメラを切った瞬間に、すごく泣き伏せられた。あんなに泣かれるのって初めて見たぐらい。それで初めて、どれだけ普段無理して生活されて、無理して僕らに接してくれているのかというのをすごく感じたんですよね。糸が取れた瞬間がバーッと出ちゃうというのを、『一生懸命か細い糸で締めて普段いる』という状況は一番感じますよね。同時に『かわいそうな人たちっていう風に思われたくない』ともおっしゃっているんですよ。そういう中で生活されているっていうことを多くの方に感じていただいて、一刻でも早い逮捕に協力してほしいというのは、取材者としては本当に思います」
風化してしまうのではないかという懸念
