「両親の激しい暴力を見て育った」特定少年に“厳罰か更生か”
7月1日の広島地裁で被告は最後に「昔から面と向かって気持ちを話すのに苦手意識があって、それが事件にも関与していると思う。少年院のほうが、より成長できると強く思った。でも強盗致死という重大なことを犯したので、刑事処分でも仕方ないと思う」といった発言をしている。
弁護側は「幼い頃に両親の激しい暴力を見て育ち、母は家を出た。『誰からも愛されていない』と感じ、親族のあいだを転々とした」と主張。被告の母親も法廷で、涙ながらに暴力を認めた。弁護側が繰り返したのは「育て直し」で、刑務所ではなく家裁に送致し、少年院での矯正が必要で保護処分が適していると主張した。
この育て直しについて、少年院で数多くの少年と向き合ってきた犯罪心理学者の出口保行氏は「『育て直し』は少年院の矯正教育の中では当たり前のように行われていること。別に今に始まったことでは全くありません。少年院に入るぐらい非行性がが進んでいる人間が、たった1年ぐらいの教育を受けるだけで再犯しなくなる。90%ぐらいが再犯しなくなる。そちらの方に注目していただきたい」と語る。
法務省の調べによると、少年院出院者の再入院率は10人に1人。刑事施設への入所を含めると5人に1人の割合だ。しかし、その1人によって命を奪われた側は納得できるものではないことも事実だ。
「(Q.被害者感情からすると処罰感情は強いのでは?)それを理解しろっていうこと自体がもう無理な話。少年事件の場合、非行事実と要保護性、それが2つのポイント。非行事実はどんな事だったのか、どれほど重たい事だったのか。その本人をどうやって保護する必要性があるのか。そこらへんの事を十分調べあげた上で最後の判決を言い渡す」(出口氏)
判決では、弁護側の「育て直し」についても裁判の争点であるとした上で、被告には暴行の非行歴があり保護観察中の犯行であったこと、金品を奪うために積極的に関与し、保護者の支援についてもその実効性は疑問だと指摘。弁護側が求める最長3年の保護処分が許される事情があるとは言えない、犯行は危険かつ悪質で無期懲役を基礎に「特定少年」である事情も踏まえ懲役18年の実刑判決を下した。
事件を主導したとされる当時16歳の少年の裁判は、14日から始まる予定だ。有罪であれば18歳未満のため少年法によって死刑は回避されるが、最長で無期懲役となる可能性もある。
犯罪者の素人化…未成年への“犯罪の重さの教育”の重要性
