
「体制誇示」との指摘もあるハメネイ師の国葬、イランの狙いは何なのか。モジタバ師(56)はいまだ姿を見せていない。実権を握るのは誰なのか。
国葬に数百万人が参列
国葬は反米感情がより高まるものとなりそうだ。
イランのテヘランでは6日、ハメネイ師と親族の棺(ひつぎ)を乗せた車列が市内を巡回。数百万人の群衆が集まったという。
4日に始まったハメネイ師の葬儀だが、6日からアメリカやイスラエルの空爆の標的となった首都テヘランで葬列の儀式が行われ、7日はイスラム教シーア派の聖地「コム」に。8日は隣国イラクの同じくシーア派の聖地「カルバラ」と「ナジャフ」を経由し、9日にはハメネイ師の出身地である「マシュハド」に埋葬される予定となっている。
体制盤石をアピールか
この国葬に対し、メディアはイラン指導部の盤石な体制をアピールする狙いがあると報じている。
ニューヨーク・タイムズは「ハメネイ師の葬儀は、アメリカの建国250周年の独立記念日と同時期。アメリカが政権崩壊をもくろんだにもかかわらず揺るがないイランの力を誇示するものだ」と伝えている。
イラン政府には、多くの市民を結集させ、体制が盤石だと誇示し、反米を旗印に国家の連帯を演出したい狙いがあるとみられている。
またアルジャジーラによると、葬儀では“復讐”を演出しているという。
具体的に見ていくと、葬儀のスローガンは「我々は立ち上がらなければならない」。また、葬儀で掲げられる赤い旗は、指導者の血に対する復讐を求めるメッセージが込められているという。イランが支援する武装組織ヒズボラ、ハマス、フーシ派の幹部を厚遇しているという。
近代史上最大規模の葬儀か
こうした中、イランは治安や秩序の維持にも努めている。
CNNによると、「ハメネイ師の葬儀は近代史上最大規模の葬儀となる可能性がある。前例のない規模の警備作戦が必要だ」という。
今回のハメネイ師の葬儀のために、例えば「テヘランの空港を閉鎖し、自家用車の乗り入れを禁止」「6000基以上の散水装置や5000万個のパンを用意」「救急車2500台、ヘリ21機、数千人の救助隊員を動員」といった準備がとられたという。
イギリスのガーディアンによると、「国家機関とボランティアの活動によって死者は1人も出ていない。元最高指導者ホメイニ師の葬儀で死者が出たケースとは対照的だ」と伝えている。
モジタバ師は姿を見せず
現指導者モジタバ師はいまだ姿を見せていない。イランの実権を握るのは誰なのだろうか。今回の国葬で、なぜモジタバ師は姿を見せないのだろうか。
ハメネイ師の葬儀では、支持者の多くが新たな最高指導者の姿を見られると期待していたが、これまでモジタバ師は姿を現していない。
その理由についてニューヨーク・タイムズによると、「モジタバ師は葬儀に参加したいとの意向を示した。しかし警備担当チームは暗殺の懸念から参列を避けた」と伝えている。
アルジャジーラによると、イスラエルは今回の葬儀前に「暗殺」を示唆していたという。
イスラエルのカッツ国防相は、モジタバ師は「死の標的になっている」と発言していた。
モジタバ師に実権はある?
一方で、モジタバ師に実権はあるのかという疑問も出ている。
イギリスのガーディアンは、ハメネイ師の葬儀で「ハメネイ師とモジタバ師が描かれた看板を多数掲示し、権力の継続性を示唆」したと伝えている。
しかし、モジタバ師に実権があるのかは不明で、ニューヨーク・タイムズは最高指導者に指名されて以降、姿を見せず、政権運営で革命防衛隊の指揮官が実質的な意思決定をしていると伝えている。
ガーディアンによると、今回のハメネイ師の葬儀には3人の息子が出席し、モジタバ師の不在が一層際立つ形になっているという。
トランプ氏「イラン人が泣いてるのに驚いた」
国葬に対するアメリカの反応を見ていく。アメリカとの戦闘終結に影響はあるのか。
アメリカのニュースサイト、アクシオスによると、トランプ大統領は「ハメネイ師の葬儀の間、1週間交渉を停止し、アメリカ・イラン双方が相手を攻撃することはないだろう」と発言している。
さらに「葬儀でイラン人が泣いているのを見て驚いた。人々はハメネイ師を嫌っていると思っていた。あれは偽りの涙かもしれない」とも発言している。
(2026年7月7日放送分より)
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