■和服への支出は40年で10分の1以下に…
しかし現在、和服への年間支出額は急速に右肩下がりを続けている。総務省家計調査の平均データによると、およそ40年前の1982年には「2万2607円」だった支出額が、2025年には「1699円」と10分の1以下にまで減少した。
こうした着物市場について月岡氏は次のように分析する。
「一番盛り上がっていた頃は、私たちの親世代が結婚する前に嫁入り道具として着物を買うような時代だったと思う。ただ、着物を全く着ないでタンスの肥やしになっているという話はよく聞くので、買ったものの、あまり着られてこなかったのかな。それが今は断捨離などで、リユース市場に綺麗な状態の着物が出回っている。それを私のような人がお手頃な価格で買って、着物デビューができているという側面もあると思う。」
危機的な状況に対し、経産省の和装振興協議会でも、ルールに厳格すぎる業界の姿勢が着用の機会を奪っていると危惧する声が出ている。「気温35度でも季節により夏物を着られない。我慢比べ大会に。(季節による着物のルールが)昭和初期では?」「『本物(偽物)の着物』や『正しい(正しくない)着用スタイル』があるわけではない。初心者ほどルールに反することを恐れている」(委員らの声)
月岡氏も、気候変動に応じた無理のない楽しみ方や、母数を増やすことによる同調効果の重要性を訴える。
「アンティークの着物などを見ていると、夏の柄なのに結構分厚い生地でできている帯などもある。昔はこれを締められるくらい涼しい夏があったのかと。ここ30年ほどで非常に気候が変わって、35度もある猛暑日に『袷の時期だから』とシルクの洗えない着物を着て汗でびしょびしょになってしまったら、着物がかわいそう」
「気軽に着て、好きに出かけるという人が増えて母数が大きくなれば、『みんなで渡れば怖くない』という感覚で着やすくなると思う。ただ、古くから受け継がれてきた素晴らしい伝統もあり、皇室の方々がクラシカルに着こなされているお着物も本当に素敵。そういう伝統的なスタイルも、ミニ丈にしたり洋服に合わせたりする自由なスタイルも『どちらもいいよね』と両方が盛り上がっていけばいいと思う」
(『わたしとニュース』より)
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