■夏休みの学校開放 助かる家庭も
保護者の立場として出演したリサさんは、中学1年と小学5年の娘を育てるひとり親であり、週5日の夜勤を含む不定期なパート勤務で生計を立てている。間もなく迎える夏休みへの不安について次のように語った。
「私が住んでいるところには、子どもの居場所があまりないので、あったらいいなと率直に思う。(夏休みは)私も仕事なので、子どもは家でお留守番。例年、給食がないので昼食の用意をしないといけないし、暑くて外にも行けない。エアコンの光熱費も高くて不安」。
給食がなくなることで食費が増え、エアコン稼働による光熱費も増加する夏休みは、困窮する家庭にとって大きな負担となる。教育NPO「カタリバ」が2026年に実施した支援プログラム利用者250人を対象とした調査でも、この1年で家計が苦しくなったと答えた割合は82.0%、物価高騰を非常に負担に感じると答えた割合は84.3%に達している。
こうした子どもの居場所として期待される「学童保育(放課後児童クラブ)」も、2026年の速報値で登録児童数が160万人を超える一方、待機児童数は1万4713人に達しており、すでに飽和状態にある。
文科省が要請した学校開放について、公立小学校教員の松尾英明氏は「学校開放自体はいいと思う。学校という場所はインフラとして整っているし、冷房も使える」と一定の理解を示しつつも、組織の主体や運営体制が不透明な現状に強い懸念を示した。
「問題は、場所ではなく運営、組織の主体だ。どこが運営して、どれぐらいの人員がいて、予算はどうなのか。子どもを預かることは簡単ではない。ただ子どもが集まる場所があればなんとかなる問題ではない。学童保育を見てもらうとわかると思うが、とてつもなく大変だ」。
さらに松尾氏は、安易に人員を外部募集すれば解決するという意見に対し、子どもを預かる現場のリスクと専門性の必要性を訴えた。
「お金と人さえつければいいという話でもない。子どもたちを預かるのは大変で、第一が安全。何かしら資格を有していたり、専門性を持った人が見ないと、子どもたちは集団になると予想しない行動をする。夏休みに預かるリスクは高くて、食中毒もあるし、けがもある。トラブルが本当にあちこちで起きる」。
文科省の要請が、具体的な予算や人員配置の設計がないまま現場へ下りてくることについて、「最終的に『学校の創意工夫で』と言われるが、我々には余力が残っていない」と指摘。学校の本分である学力形成や人格形成の分野ですら、不登校やいじめ問題が積み重なり解決しきっていない現状を挙げ、厚生労働省やこども家庭庁が担うべき福祉の分野まで学校側が背負わされる「ビルドアンドビルド(増える一方の業務)」の構造に危機感を示した。
■厳しすぎる「世間の眼差し」と排除の空気
