■厳しすぎる「世間の眼差し」と排除の空気
学校や学童が限界を迎える中、民間のNPO法人などが子どもの居場所づくりを担うケースが増えている。しかし、NPO法人「カタリバ」代表の今村久美氏は、民間団体に対する世間の厳しい目が活動の障壁になっていると吐露した。
「こども家庭庁の財源がNPOに行くと『どうなっているんだ』というように、民間団体に対する厳しい眼差しがあり、我々も活動しづらい。『公金チューチュー』などと言われるが、これが宇宙開発のスタートアップだったら、絶対に言われない。子ども政策において、非常に国民の眼差しが厳しいので、人も育たないし団体も育たない。そうすると、学校の先生がやるしかない、となっている」。
今村氏は、居場所の不足が子どもの犯罪リスクに直結している現状も指摘する。少年院などに収容されている少年のデータをもとに、「悪いと思っているけれども、友達に誘われてライトに特殊詐欺に行く子たちがすごく多い。親だけでは子どもたちを見守れないのだとしたら、社会的に整備された第三者が居場所を安全に整備していくということは必須のインフラになっていく」と語った。
これに対し、PTA活動に参加している元経産官僚の宇佐美典也氏は、地域行政の効率化によって学校周辺の職員や「緑のおばちゃん」などの人員が削減され、地域と学校の距離が開きすぎた構造的問題を指摘。「学校が見えなくなっているから、NPOはもっと見えない。もう一回、区や市といった行政が学校を使い、親を巻き込むという方向にお金を使わないと、みんな人任せになってしまう」と持論を展開した。
一方で、外部からの新規参入の難しさについて、ハヤカワ五味氏は自身の体験を明かした。「子どもに普段関わってる界隈が、普段から厳しい目にさらされてるからこそ、外部から入ろうとする人にも、厳しい目を向けている。私もすごくやりづらいと感じた。子ども向けの勉強会をやりたいというだけで、『いや、こういうリスクが…』とか『子どもがいないのだからやるな』と言われて、『じゃあ、もういいです』となった。逆に私たちが参加しやすい場所や、関わる機会も欲しい」と述べ、過剰な安全管理や排除の空気が障壁になっていると語った。
また、EXIT・兼近大樹は、子どもの心理に寄り添った居場所の多様性を主張した。
「子どもたちは、グレーなところを好む性質がある。きれいなところに行けば行くほど、なんだか苦しい子たちもいっぱいいる。単に居場所が欲しいだけではなくて、ちょっと刺激のある居場所、楽しい場所を求めて来る。グレーに見せておいて、本当はちゃんとした大人が運営してるような場所があればいい。でも今は、グレーの場所を(本当に危険な)黒い人が運営してるから、子どもたちが割と染まりやすい」と述べ、大人が優しい目を持つ重要性を訴えた。
■善意頼みの限界、求められる国の仕組みづくり
