■地方から東大に挑戦、その後の課題も
一連の議論に対し、文筆家・佐々木俊尚氏は財団の取り組みを評価しつつも、より大きな構造的問題を指摘した。「機会を失ったまま東大に行けない子がいるのに、機会をちゃんと与えるというのはものすごく重要なことだ。ただ地方の側から見れば、なぜ優秀な人材を東京に持っていってしまうんだという声も多いだろう。東京に行ってしまったら、そのまま中央官庁の官僚や大企業の社員になって地元には戻ってこない。その構造自体が問題だ」と述べる。
佐々木氏は「地方の問題はその世界の中だけで生まれ育ち生きていく閉鎖性にある。若い人に外に出て行ってもらい、東京や大阪を知って、また戻ってきてかき混ぜてもらうことで、新しい知見が入り流動性のある環境が生まれる。東大に入ること自体を目的にせず、流動性を高めることが重要なテーマだ」と主張した。
また、中国や韓国の過酷な学歴競争社会を引き合いに出しつつ、「日本は中卒でも高卒でも大卒でも、それぞれにちゃんとしたいい人生がある多様性が豊かだと評されている。ただその状態が続きすぎると、縮小再生産に入って伸びていく人が出てこなくなる問題もある。伸ばしていくという西岡さんの方向性と、過激な競争に行かなくてもいいという考え方、その両面のバランスをどう取るかが重要だ」と語った。
加旗さんは「母子家庭で親族に大学進学者もほとんどいない環境の中で、まず親への恩返しがしたい。東大に行くことで貧困の連鎖を自分個人として断ち切りたいという思いがある」と話す。嶋田さんは「鬱から回復した自分の経験や成功体験を日本中、世界中の人に伝え、人生の支えになるような活動がしたい。そのために東大に行って進路の幅を広げることが必要だと感じた」と、それぞれが東大を目指す理由を語っていた。
(『ABEMA Prime』より)

