■高市政権への「失望」か 極東地域に向けたアピール
この時期にプーチン大統領が北方領土を訪問した背景について、慶應義塾大学教授で国際政治学者の廣瀬陽子氏は、日本の現政権に対するロシア側の見方の変化を指摘する。
「昨年の秋に高市政権が成立したが、プーチン政権は高市政権に若干の期待を持っていたと言われている。高市総理が誕生する時に『自分は安倍総理の後継者である』と広く言っていた。安倍総理は在任中27回もプーチン大統領に会い、一番接近した人物。ロシア側は『安倍外交の再来』があるのではないかと感じていた」。
しかし、「2022年にウクライナ侵攻が始まってから、日本はロシアに最大限の制裁をかけている。その制裁の存在が、ロシアにとって日本と外交を行う上で一番のネックになっている。そこが全く動かないということに、かなりの失望や焦燥感を持っている」と、日本が対ロ制裁を継続していることが今回の訪問の背景にあるとの見方を示した。
さらに、もう一つの理由としてロシア国内、特に極東地域に向けた政治的アピールがあると語る。「ロシアでは5月9日が対独戦勝記念日だが、9月3日が対日戦勝記念日。ちょうどこの頃に北方領土やサハリンなどにソ連兵が侵攻したという歴史がある。本土の人は北方領土に関心はないが、極東の人にとっては、戦勝記念日を前にプーチン大統領が来ることは非常に大きなイベントだ。彼らのムードを盛り上げるという意味合いもあったのではないか」と分析した。
■ロシアが手放せない理由、「国後水道」という軍事の要衝
