“天才”ならではの衝撃的な一手がファンの度肝を抜いた。8月15日に生中継された将棋の早指し団体戦「JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026」準決勝第1試合、TDIルシーグ横浜と中国・四国ナヴィセトスの対戦。この日、類まれなる勝負勘と圧倒的なチーム力を見せつけた中国・四国が、怒涛の勢いでスコア5-1と横浜を下し、見事決勝進出を決めた。その劇的な勝利への流れを決定づけたのが、第4局で飛び出した驚愕の“ノータイム飛車切り”だった。
スコア2-1と中国・四国が一歩リードして迎えた第4局は、横浜の伊藤匠二冠(叡王、王座、23)と、中国・四国監督の糸谷哲郎九段(37)による黄金カードが実現した。対局前の盤外の駆け引きから、早くも両者の思惑が激しく交錯する。「糸谷九段は先手でも後手でも作戦が読めない」と時間を重視した伊藤二冠は、0秒の入札を決断。一方の糸谷九段は「これ以上入れてきたら仕方ない」と49秒を提示し、糸谷九段が先手番を獲得した。対局前のインタビューで伊藤二冠が「チームはひとつ負けが多い状況なので、なんとか星をタイに戻して熱戦を繰り広げたい」と闘志を燃やせば、糸谷九段は「先手番を取れたのは嬉しいけど、49秒差をどうするか…」と持ち時間の差への警戒感を口にしていた。
将棋は雁木の出だしとなり、序盤から激しい攻防の幕が開けた。伊藤二冠から鋭く仕掛けていったが、糸谷九段がこれに巧みに対応していく。駒得を果たしたあたりから完全に糸谷九段がペースを握る展開となった。盤上は長期戦が見込まれ、伊藤二冠に攻めのターンが回っていると思われた局面。ここで誰もが予想しなかった超絶な一手が飛び出す。なんと糸谷九段は、持ち時間を全く使わずに“ノータイム”で飛車を切る決断を下したのだ。
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