「ChatGPTも回答が…」大学の授業についていけない学生へ向けた「大学生の塾」とは? 国立大・早慶など難関大生まで通う深刻なワケ…慶応大教授が指摘する“大学側の責任”

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■国公立や早慶、GMARCHの学生も通う「大学生のための塾」の現状

IM個別指導学院・溝井良明学院長
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 土曜日の夜、都内にある塾で行われていたのは物理の授業だった。ただし、指導を受けているのは高校生ではなく大学生だ。

 大学生を指導できる教員を揃えた「IM個別指導学院」の溝井良明学院長は、通っている生徒について「国公立大学をはじめ、私立大学は早稲田や慶応などの早慶の学生、それからGMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)の学生が多い」と現状を語る。

 同塾はもともと、中高生などを教える一般的な学習塾だった。しかし、10年以上前に1人の大学生を指導したことをきっかけに、ウェブサイトに「大学生教えられます」と記載したところ、塾生が大学生ばかりになったという。授業は理数系の科目が中心で、オンライン指導にも対応しているため、現在では全国から生徒が集まっている。

 どのような悩みを抱えた大学生が通っているのか。同塾で物理などを教える根岸賢司氏は、「高校の数学IIIレベルの計算力が身についていないまま大学の理工学部に進学してしまった学生がいる。計算力がないので、物理や数学の授業についていけない」と説明する。

 また、溝井氏は「例えば数学の微分積分や線形代数の単位が取れなかった、それから物理の単位が取れなかった。単位を落とすと再履修になって翌年また同じ授業を受けなければならない。1回目で内容がわからなかった授業について、『もう1回チャレンジして単位が取れるのか』というのが、大学生の皆さんの素直な気持ちだろう」と分析する。

 1年生の中間試験を受けた段階で『このまま授業についていけない』と感じ、早めに相談に来る学生もいるという。

 現役の大学生も、高校までの勉強との間に大きなギャップを感じている。私立大学の理系学部に通う2年生の学生は、「コンピューターを使いながら数学をやるという学科だが、コンピューターのプログラミングのコードがあまり馴染みがなさすぎて、なかなか1個1個理解するのが難しい」と話す。また、別の理系学部2年の学生は、「専門的になったのもあるが、教科書や問題集に具体的な答えが書いていなくて、詳細な答えがわからない。ChatGPTに聞くしかないが、ChatGPTも必ずしも正しい回答をしてくれるわけではないので、それで結構難しいなと思うことが多い」と語る。

 受験では避けることができた苦手科目でも、大学入学後は必修科目になることがある。卒業や進級のためには必ず単位を取得しなければならず、そこに行き詰まってしまうのだ。中には、文系クラスでありながら理系の有名大学の指定校推薦を担任から勧められ、進学後に苦労した学生もいる。溝井氏は進路指導に問題があるとしたうえで、「その学生は結局、この教室に3年間通うことになった。過去に私が出会った学生の中で一番ひどかった例だ。親御さんとしては、大学にかけている学費と塾のお金で二重にお金を払っている状態で、かなり金銭的に負担が大きかっただろうと思う」と振り返る。

 ただし、溝井塾長は、これらはあくまでも塾生が抱えている課題であって、必ずしも学生全体の学力が落ちているわけではないと見ている。昔から単位を落とす学生は一定数いたからだ。

 以前は存在しなかった「大学生のための塾」ができたことにより、学生がつまずく課程が目に見えるようになったともいえる。

「高校までは与えられる勉強」塾講師は学び方自体の問題も指摘
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