2026年8月20日、栃木県の東武鉄道・新鹿沼駅で4人が特急列車にはねられ死亡した事故を受け、東武鉄道は同日、緊急記者会見を開いた。鈴木孝郎取締役専務執行役員鉄道事業本部長、佐藤晃一施設部部長らが出席し、事故当時の現場の作業体制や、安全確保のための手順について説明した。
会見の冒頭、鈴木専務は「本日午前10時46分に東武日光線新鹿沼駅におきまして作業員と列車が接触する事故が発生し、線路内で作業していた4名の方がお亡くなりになりました。亡くなった方々に対しましては謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様には心からお悔やみを申し上げます」と謝罪。「このような重大な事故を発生させたことを真摯に受け止め、二度と起きないよう再発防止策を徹底する」と深く頭を下げた。
事故当時は除草作業が行われており、作業チーム9人と現場を確認しに来た1人の計10人が現場にいた。被災した4人はホーム下の線路内にいた。佐藤部長は「被災者はホームの下に降りた位置に配置しておりました。列車見張り員につきましてはそれよりも下り方に1名おりました。また被災していない2名の作業員、1名の作業指揮者については、2人はホームの上、もう1人はそれよりも少し下り方の位置に配置しておりました」と説明した。
なぜ昼間に作業が行われていたのかという点には、佐藤部長は「私たちは列車見張り員を適正に配置して、列車が来ることを確実に捉えて列車退避できるという状況を作れる場合には、昼間作業をよしとするという規定で工事を実施しております。十分にしっかりと体制を整えれば昼間も安全に作業ができると考えて実施したのでございます」と説明した。
安全を確保するための列車見張り員について、 佐藤部長は「上り線で作業するときには、現場より315メートル下り方にいる中継見張り員、それと現場にいる列車見張り員が相互に列車が来ることを確認して安全を担保することになっております。下り線で作業するときには、現場よりも上り方315メートルの見張り員と現場にいる列車見張り員が意思疎通を図って安全を担保します。そのため、列車見張り員は3名、この工事に関してはいるということになっております」と述べた。
東武鉄道では、列車の接近から退避にいたる安全確保の手順(作業ルーティン)を定めている。見張り員による退避合図、作業指揮者と作業員は見張り員と互いに声をかけ退避、見張り員は全員の退避確認後に列車の乗務員に対する「列車接近了解合図」、列車接近了解合図は乗務員による汽笛応答まで全員が続ける、汽笛で応答した後列車が接近したら通過するまで安全姿勢、そして列車通過後の安全確認を経て作業を再開する流れがあり、佐藤部長は「これを毎回確認しながら安全を担保しているという流れの中で作業をしております。ただ、今回これがどこまでできていて、何を間違ってしまったのかというところは、これから調査しようというところでございます」と話した。
新鹿沼駅の上り線作業における列車退避に必要な見通し距離は525メートルと定められていた。中継見張り員が立つ315メートルの位置から、さらに210メートル先から来る列車を視認し退避合図を送る。佐藤部長は「事前に事務所内でも確認をしまして、ここは2名必要だと。あとは現場でどの位置に立てば525メートル以上になりますけれども、その見通し距離を確保できるのか、旗を振ったりジェスチャーをしたりして完全に見えるということを確認して作業をしております」と、事前の確認は十分であったとした。
見張り員による列車接近了解の合図(緑の旗を上げる動作)が行われ、列車側も警笛を鳴らしていたのかと問われると、佐藤部長は「そういった動作はしたということは認識をしておりますけれども、これからきちんと確認しなければいけないと思っております」と答えた。
また、見張り員が退避できたと誤認して了解の合図を送ってしまったのか、それとも合図後にトラブルが発生して退避に失敗したのかという原因の仮説について、佐藤部長は「決めつけた考え方をしないで、何が本当だったのかということを探っていきたい」と述べるにとどめた。また、現在は警察とのやり取りを優先しており、現場に残ったスタッフへの聞き取りが十分にできていない状況で、「持っていたものに問題があったかどうかも含めてきちんと現時点で確認できている状況ではございません」と話した。
被災した4人の雇用関係について、佐藤部長は元受け社員と孫請け作業員と明かした。東武鉄道は今後、警察の捜査に協力しながら詳細な原因究明と再発防止に努めるとしている。
(ABEMA NEWS)

