■「生徒より先生を見つけるほうが難しい」塾側の苦労
「めちゃくちゃ安いなら受けたいという意思はあるけど、私立大学に通っているのでお金がカツカツだから厳しい。親に塾代を追加で出してほしいとは気まずくて言いにくい」そう本音を漏らすのは、私立大学理系学部に通う2年生の学生だ。別の4年生の学生も、「金銭的にはだいぶきついと思うが、制度としてはとてもいいと思う」と語る。
大学の授業についていけない学生を支える大学生専門の塾だが、その費用は決して安くはない。IM個別指導学院では1科目につき月4回の指導で約5万円、2科目を受講すれば月額約10万円にのぼる。この授業料の背景には、大学生向けの塾ならではの事情がある。難関大の学生を教えるには、大学教員や研究職など、それ以上の知識を持つ人でなければならない。さらに、大学の学習内容は専門分野に細かく分かれているため、対応できる講師の確保が容易ではないのだ。
IM個別指導学院の溝井良明学院長は、「勉強に困っている大学生を見つけるよりも、大学生に勉強を教えられる先生を見つける方がとても大変。いまも希望するすべての学生をサポートすることはできていない」と説明する。
採用にコストがかかるということは、授業料に反映しなければ赤字となってしまう。しかし、受講する家庭にとっては厳しい。溝井氏は「『大学の学費を払うので精一杯です』という家庭は山ほどあるし、学生自身が奨学金を背負っている家庭は山ほどある」と指摘する。実際、費用を抑えるため受講回数の削減を相談されることもあるそうだ。そこで塾側は受講回数や支払時期を調整するなど柔軟に対応しているが、それでも実際に通っているのは経済的にゆとりのある家庭の学生が中心だという。
「この教室に在籍している大学生のかなりの部分は、早慶を代表とする私立大学の付属校からの進学者がすごく多い。中学入試の時に学費をかけることができた家庭は、大学生になって行き詰まった時にも、塾に通わせるお金がある」(溝井氏)
こうした現状に対し、中室氏は「本来であれば大学がやるべきだった支援を民間の事業者が負い、そのコストを家庭が負っている。この問題で最も深刻なのは、格差を広げることになる点だ」と懸念を表明した。その上で「大学は一定のプレイスメントを行って学生を受け入れたのだから、責任を持って大学自身が対応すべきだ。自分にブーメランが返ってくることは百も承知だが、大学がちゃんとやるべきだと思う」と述べた。
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