戦争のリアルを「作品」で伝える意味 映画監督・塚本晋也氏が描く“加害者のPTSD”「描写と物語で戦争が『嫌だ』と体感してもらいたい」

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■スマホで戦場が見える時代の映画の意義「リアルな描写」と「感情」

アレン・ネルソン氏の半生
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 2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は現代の映像環境を踏まえ、「戦争の現場がスマホなども含めて無料でいろいろ見える時代になっている。リアルが見える時代に、作り物の映画でリアルを伝えるというのは、逆に難しいのではないか」と問いかけた。

 これに対し、塚本氏は実際の映像と映画の違いについて言及。「本当の現場のドキュメンタリー映像は今たくさん見られるが、動画と現実とではやはり違う印象を受けると思う。本物を見せるから本物が感じられるわけではなく、そこに創作という筋立てや物語を見せていくことで、より本物に感じるようなものを表現することが映画の役割なのかなと思う」と語った。さらに「描写と物語が関わって、リアルのように感じるものを作るのが自分の作業だ」と話した。

 リアリティを追求する上で避けて通れないのが、残虐な表現と視聴制限の問題だ。塚本氏は演出の意図について、「戦争の話がいかに『嫌だ』ということを、体感してもらいたい。自分の場合、表現を加減したことはなく、映画に必要な分の内容は全部描き切る」と明言した。

 ひろゆき氏は「子どもの頃に『はだしのゲン』の実写映画を見て衝撃的だったが、小学生が見られない作品になってしまうと、そういう感情が生まれないと思う」と指摘しつつ、「残虐なシーンが逆に『作り物感』が出すぎてしまいリアリティが薄れる作品もあるが、塚本監督の作品は本当に淡々と人が死んでいく。そちらの方が恐怖の感情は残るのではないか」と分析した。

 塚本氏は、「暴力的な部分を見せるところ、見せないところのさじ加減は大事。頭や内臓が飛び散っているものでも、やがて見ている人は慣れてきて飽きてくる。見せる・見せないは慎重にやっている。」と説明。また主人公の周りで起きていることを中心に描き、敵側が攻撃の準備をする場面などはあえて見せず、 「ある時突然弾が飛んで爆発する。それが当事者意識だと思う」と、戦場を当事者の視点で体感させる演出について語った。 

 本作の大きなテーマである「加害者視点」について、塚本氏は「今の時代、“ヒロイズム” で戦争を描くのは危険だと強く思っている。戦争に行くことは、かっこいい活躍をして、かっこいいことを言って死ぬのではなく、ものすごい形で自分が死ぬか、戦争がなければ友だちになれる人を自分が殺すかだ」と懸念を示した。

 さらに帰国後の問題として、「せっかく生きて帰ってきても、加害者の人は恐ろしいPTSDを抱えている。家族など大事な人にも暴力を振るってしまい、その暴力が次の世代へと続く暴力の連鎖がある。日本ではPTSDという概念がなかったので、みなさん黙っていた。それを表したいという思いがあった」と制作の動機を語った。また、「戦場には加害者も被害者もいるが、実はどちらも被害者だと自分は思っている。本当の加害者は誰か。それは戦争を始めて、実際に戦争に行かない人だ」とも述べた。

■現代の戦争と映像化の課題 フィクションが伝える「重さ」
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