■「入試のためだけ」の高校生に企業困惑…
一方で、無理にアピールポイントを作ろうとする生徒もいて、受け入れ側からは困惑の声も上がっている。
動作解析AIの研究開発を行うスタートアップ企業「sci-bone」。スポーツ分野などでサービスを展開している企業だ。代表の宮澤留以氏は、5月の終わり頃から高校生による技術への問い合わせが複数寄せられるようになったと明かす。
しかし、この問い合わせの内容に、宮澤氏は疑問を抱いているという。
「本人がそんなに研究したくないんだろうなと。やっぱり入試のためだけなんだろうなと感じることが多かった。全体的に内容が薄い。質問のメールも生成AIで作っているが、(その高校生が行っているという)研究内容自体もおそらく生成AIで作っているんだろうなと。かなりの部分で感じることが多い」
また、送られてきた資料では大学生の卒論レベルの研究内容だと感じても、いざ口頭で本人に内容について聞くと、全然理解していないケースもあったという。
宮澤氏は、総合型選抜そのものには反対ではないものの、入試のための「実績作り」には懸念を示している。
「(対応は)かなり負担になっている。お金をいただいているわけではないので。元々、スポーツと研究は私自身もやっていたし、そういった若い学生が入ってきてくれることは望んでいる一方、入試だけに使ってしまい、その後研究には進まないと見えている学生に対しては否定的だ」(宮澤氏)
この「実績作り」については、浜田氏も取材したNGOやNPOの現場で同様の事態が起きているとして、「明らかに総合型選抜の対策として、『1週間だけボランティアをしたい』あるいは『ジェンダーや子どもの貧困に関心がある』といった実績作りに訪れる生徒が増えていると聞いている」と語る。人手不足に悩む小規模なNPOなどでは、その対応に追われることが大きな負担となっており、現在では探究学習も含めて高校生からの依頼を一律で断る団体も出てきているそうだ。
「ゲーム」と化す入試制度は「本末転倒」
