■急激な変動が企業や実生活に与える「リスク」
7月後半には163円台を記録していたことを考えると、為替の振れ幅は非常に大きくなっている。この激しい変動が実社会や企業活動に与える影響について、崔氏は「円高・円安そのものの影響というよりも、急激な変動によって企業の活動や景気にマイナスの影響がないかが心配」と懸念を示す。
続けて「最近、高級キーボードでなじみのある会社が、急激な為替変動に耐えられないこともあって倒産したことが話題になった。多くの研究でも、あまりに急激な変動が起きると、企業が採用を抑制したり投資を控えたりすることが報告されていて、この悪影響が気になる」と語った。
さらに、企業側としては急激な変動が起こることによって「『これからもっと円高になるかもしれない』『円安になるかもしれない』『為替ヘッジをしてもどうなるか分からない』と考える。さらに、そう考える企業が増えることで、『今は仕入れはやめておこう』『投資はやめておこう』という“群衆行動”が続きやすくなる」と分析する。
企業は長期的な展望に基づいて事業を展開しているため、将来の予測が立たない状況は経営上の大きなリスクとなる。崔氏は「7月後半から10円近く急に円高になった。非常に興味深いのが、株も為替も下がる時は急に来るということだ。日本企業も海外の企業も、今は勝負するタイミングをずらした方がいいと考え始めているのではないか」と指摘した。
実生活への影響については、「仮にこの円高水準が半年先も続くのであれば、電気代や身の回りの輸入食品などが安くなる可能性はある。しかし、一時的に円高になっているだけでは、あまり生活への影響はない」と説明。むしろ「企業が行動を自粛することによるマイナスの影響の方が大きいかもしれない」とした。
最後に崔氏は「物価や為替の安定は重要であり、過度な変動は抑えるべき。身の回りの生活や為替があまりに急激に動いていたら、旅行に行くのも少し後にしようと考えたり、企業も投資は今ではないと判断したりして、リスクが取れなくなってしまう」と述べ、急激な変動がもたらす停滞への懸念を語った。
(『わたしとニュース』より)
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