■大学に進むには本人分が生活保護の対象外に…
清野さんは、大学受験にあたって直面した困難を大きく3つ挙げる。「1.お金がないこと、2.ヤングケアラーだったので家に帰っても勉強する時間がないこと、3.制度上の理由で大学進学しにくいこと」だ。
まず金銭面については、「塾・予備校に行きたかった。成績が良ければ授業料は無料と言われても、入学金などがかかると言われ、出せなかった」と振り返る。結果として参考書を入手することも一苦労で、インターネットで無料の教材を探し、それだけで勉強するしかなかったという。
ヤングケアラーとしての負担も深刻だった。「自分の場合、一番ハードルが高かったのは精神介護。家に帰ってから深夜の4時・5時、翌朝に及ぶまで、父親の話をずっと聞いているという状況が日常茶飯事だった。アルコールなどに走ってしまうこともあったので、それを何とか食い止めていた」と語る。学校の行き帰りの隙間時間を徹底的に活用し、「とにかく効率的にやるしか勝ち筋がない」と自分に言い聞かせて勉強を続けた。
そして制度の壁として立ちふさがったのが「世帯分離」の問題だ。生活保護世帯の子どもが大学に進学する場合、本人分は保護の対象外となる「世帯分離」の扱いを受ける。しかし、「4月1日からいきなり生活費も医療費も交通費も全て自分で賄ってください、ということになる。それと同時に、子どもが大学に行ったら両親が得ている(保護費の)金額が減る。ただでさえ大変なのに、さらに減らされたら生きていけないから『大学に行くな』と親が反対するパターンもある」と説明する。清野さん自身は世帯分離という形を取って進学し、東大合格が決まった瞬間から7つのアルバイトで並行して働き、生活費をやりくりしたという。
細野議員は、この問題の歴史的背景を説明する。「今から半世紀以上前、1970年までは生活保護世帯は高校に行くことが贅沢とされていた。高校進学率が8割になったので、生活保護家庭でも行けるようにした。大学・専門学校の進学率も8割に迫ってきているので、日本も変えるべきだと提案してきたが、まだ変えられていない」と述べる。
当時の議論を経て、生活保護世帯の子どもが進学・就職する際に受け取れる 「進学・就職準備給付金」(自宅通学の場合10万円、下宿の場合30万円)が設けられたことで、状況はわずかに改善した。清野さんも「準備金の拡充にはかなり助けられた」と認める。しかし細野議員は「依然として壁がある」とし、世帯分離そのものの撤廃を目指す理由をこう語る。「貧困の連鎖をなくして、努力したかどうか・能力のあるなしで結果に差が出るのは仕方がないけれど、機会の平等が損なわれているというのは社会悪だ。日本の活力を削いでいる」。
■生活保護世帯でも大学に進めるための法整備
