■生き方の偏見・分断・順位づけを超えて「何が大事かは人それぞれ」
さらに、志田さんのようなDINKWADという生き方についても議論が及んだ。月岡氏は、「子どもがいない夫婦がペットを飼っていると、周囲から『子どもの代わりにしているのね』と見なされがち。それに対して『犬が好きだから育てているだけ』といちいち説明しなければいけないのも変な感じがする」と違和感を口にした。
また、志田さんの「子どもを持っている人と持っていない人で順位がつきやすく、持っている人が優位に立ちやすい」という意見について、月岡氏は「実際に子どもを育てて学びや責任感が生まれることもあると思う。ただ、それが人間の優劣になるかというと全く別の話。子どもがいない人生を歩んでいても、他のいろいろな経験からすごく豊かな人生を歩んでいる方もいる。そこだけの指標で人を評価することはちょっと考えものだ」と指摘。
家族や幸福の経済学を専門とする拓殖大学の佐藤一磨教授は「かつてのみんなが結婚して子どもがいる社会では意見が“統一化”されていた。今は子どもがいる人といない人で意見がぶつかる機会が増えてきている」と分析する。その上で「意見の相違はあっても、どちらかを正解にするのではなく、それぞれの選択が認められることが大事だ」と指摘する。
昨今、価値観は多様化しており、犬や猫などのペットをはじめ、人それぞれ大切な存在は異なってきている。月岡氏は「人によって何が大事かが全く違う社会になってきたことに、まだ世の中が慣れていないところがある」との見方を示した。
最後に月岡氏は、「子どもを育てている人たちは、次の社会を担う人たちを育てているという意味で社会に必要なことをしているし、弱い存在である子どもを育てる世帯へのサポートはもっと手厚くなってほしいと私もすごく思う。ただ、その話と個人が何を大事にして生きていくかということはまた別の軸の話。そこを分けて考えないと『どれくらい生産性のある人間だったら生きていていいのか』という話になっていってしまう。そこはちゃんと切り分けて考えることに、我々がもっと慣れていくべきだ」と締め括った。
(『わたしとニュース』より)
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