■外の世界を知る強みと、女性後継者が直面するジェンダーギャップ
こうした小野氏の挑戦を受けて、滝川氏は「外の世界を知っていることはものすごく大きい。地方における人手不足とこの後継者不足の話はイコールだと思うが、今はUターンして跡を継ぐ人は多い。一度、外の世界を見たからこそ、地元の良さも、足りないところもわかる。新しい風を地元に吹き込むというのは、理想的な後継者問題に対する一つの策だ」と高く評価。
また、販売員の意見を取り入れて商品開発を行うなど、伝統を変えていく取り組みについても「地域の老舗和菓子店にきちんとマーケティングを取り入れていったのだと思う。マーケティングは市場の声を聞かなければいけないし、従業員はステークホルダーでもあり市場の人でもある。今のままでは頭打ちになるという肌感覚の中で、外の声を取り入れて次の形をデザインされている」との見方を示した。
さらに、権限を移譲して組織化を進める動きについては「環境変化が激しく、AIもどんどん台頭する今、社長だけに権限が集中する会社は社長だけの考えで舵取りされてしまいがち。権限を移譲し、いろいろな人に自律的に動いてもらう組織を実現できた時に、広い視野の中での経営が実現する。小野氏のやり方は経営としてあるべき姿なのでは」と語った。
一方で、女性が跡を継ぐことへの影響や課題も存在する。日本跡取り娘共育協会が全国104人の女性事業後継者を対象に調査した『女性後継者白書2026』のデータによると、跡取りが女性であることが「かなり影響がある」「やや影響がある」と回答した割合は合わせて65.4%に上る。
この結果について滝川氏は、「はっきりと有意性が出ている」とし、地方における課題を指摘。自身も北陸地方出身であり、「都心の多様性のある会社に比べると、地方は男女の性別役割分担が根強いと感じるし、データでも出ている。女性が社長や経営者になることに対しては、割と反発されやすい」と、地方における男性社会の障壁について言及した。
(『わたしとニュース』より)
この記事の画像一覧
