■「人間の達成感、やりがい、創造性をAIが持っていってしまう」と指摘も
宗義氏が音楽制作にAIを用いない理由として挙げたのは、クオリティの問題だけではない。「音楽の面で言うと、生成AIのクオリティはとてつもないと思う。ただ、制作を通して我々人間が何を得ているかが一番重要で、制作の中でいろんな葛藤や悩み、立ち止まりがあって、それを乗り越えることで成長につながっていく。成果物がどうかというよりも、その過程を大事にした方がいい」と述べる。
また、「AIを使った方がいいものができるのか、それとも自分で作る方がいいのか」との問いには「生成AIのクオリティは認めているが、答えがすっ飛ばされて一気に高度な答えまでいってしまう。大事な部分がすっ飛ばされているのが懸念していること」と答えた。
岸谷氏は「価値基準の問題で、さっさと終わらせることに価値を置くのか、プロセスに価値を置くのかということ」と整理した上で、「AIを使えば15分で作れるものを3カ月かけて1曲しか作れない人と、1000曲・1万曲を納品できる人では重要な差が生まれる。経済合理性としてはAIを使った方がいい」と現実的な側面を示した。
これに対し東京大学松尾・岩澤研究室主幹研究員・山川宏氏は「人間が仮に部下に仕事を渡したときは部下が新たに生きがいを感じていたが、AIだとそうでもなくなってしまう。AIを作っていくと、人間ではないものが達成感や生きがい、創造性みたいなものをどんどん持っていってしまう。そこはやはり寂しい」と語った。
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