■FOXの矜持――「一貫性」が示したもの
今回の対立で特に注目されたのが、FOXニュースの動向だ。トランプ政権に融和的とされてきたFOXが、他の大手各局とともに代表取材のボイコットに踏み切った。阿部氏はその意味をこう解説する。「FOXがメディア側についたことは、トランプ政権にとってショックだったはずだ。FOXのホワイトハウス担当記者は現在ホワイトハウス記者協会の会長でもある。FOXとしては自らの報道姿勢というよりも、報道機関としての生存本能に火がついた形だ」。
エルドリッヂ氏はさらに踏み込み、過去のバイデン政権との対比でFOXの姿勢を評価する。「バイデン政権のとき、(政権に批判的だった)FOXは相当いじめられていた。今回FOXがこういう措置を取ったのは、メディアの原理原則に基づく一貫性の表れだ。一方、左派のメディアはバイデン政権やオバマ政権のとき、右寄りのメディアがいじめられても知らんぷりをしていた。だからFOXの行動は評価できるが、左派メディアの行動は一貫性も原理原則もない」と述べた。
佐々木氏もこの点を「非常に大きな意味がある」と評価しつつ、日本の状況にも重ねる。「逆にFOXが締め出されたときにCNNは本当に声を上げるのか、上げないことが多い。日本の左派勢力にも似たようなダブルスタンダードが散見される。同じ行為でも自分たちと同じ勢力がやると何も言わないが、異なる勢力がやると大きく騒ぐ。辺野古のボート転覆事故が当初あまり報じられなかった件のような問題も起きている」と語った。
株式会社笑下村塾代表のたかまつなな氏は、メディアが信頼を取り戻すための根本的な問いを示す。「日本の政治報道を見ても、本当に国民が知りたいことを報じているのか疑問だ。汚職は大々的に報じられるのに、良い政策の立役者が誰かは報じない。それでは選挙のときにどう選べばいいかわからず、ポピュリズム的なものになっていくおそれがある。メディアはそろそろ、信頼を取り戻すためにどういう報じ方がいいかを考えなければいけない」。
佐々木氏は議論を締めくくるようにこう述べた。「自分たちの考えこそが社会正義であり、我々と違う考え方の人間は悪だという意識が日米のメディアに染み付いている。正義は多様であって、唯一の正義などない。考え方が違うだけなのだという根幹に立ち返るべきだ。リベラリズムとは本来そういうことで、他者を攻撃するための看板ではないはずだ」。
(『ABEMA Prime』より)
この記事の画像一覧
