■アメリカの分断の現状と背景
アメリカにおける分断の現状について、朱氏は「単に意見が合わないというレベルを超え、論点がそもそも一致しなかったり、言葉が通じなかったりする『分極化』が進んでいる」と指摘する。1つの単語の選び方だけで「あちら側か、こちら側か」と判断されかねず、共通の議論の台座すら失われつつあるという。
この背景には、メディア環境の変化とSNSの普及がある。柳澤氏は、戦後一貫して政治や宗教が資本主義的な活動に飲み込まれていったことや、インターネットの台頭によって「いかに注目を集めるか」というアテンション・エコノミー(注目経済)に社会全体が飲み込まれていった構造を分析する。
さらに朱氏は、SNSの影響について「顔が見えず、体を伴わないメディアだからこそ、面と向かっては言えない攻撃的な言葉が蔓延してしまった」と語る。かつて世界をつなぐと期待されたテクノロジーが、論破や強い言葉を広げる側面も持つようになったとし、「トランプ大統領の存在は分断の原因というより、こうした社会の症状・結果である」と述べた。
現地ニューヨークでの取材を行った柳澤氏によると、こうした激しい対立の渦中で、特に若者の間に「政治や対立にうんざりし、疲弊している」という空気が広がっているという。
■正しさや損得から解放される「クラブ」の存在
