■駐留米軍の捜査には今も「日米地位協定」の壁
沖縄県内における米軍関係者の犯罪が増加傾向にある理由について、国際政治学者で琉球大学准教授の山本章子氏は、米軍の構造的な問題が長年解決されていないことによるものと指摘。「ベトナム戦争の後から米軍は志願制にしたことで、慢性的な人手不足がずっと続いている。特に9.11テロ以降、大学の奨学金で若者を、グリーンカードで移民を勧誘するなどいろいろ策は打ってきた」とし、それでも人員が足りず、経歴に問題のある人の受け入れ基準を緩めたと説明。その結果として「潜在的に問題を起こす可能性がある人間が、少ないけれども米軍の中に一定数いるような構造になっている」と説明する。
これに対し、元海兵隊員で3年間沖縄に駐留した経験を持つランディ・リース氏は「人手不足に悩んでいるのは陸軍、空軍、海軍であって、海兵隊ではない。ここ30〜40年で募集定員を満たせているのは海兵隊だけだ」とも述べた。
山本氏はさらに、「海兵隊員の犯罪が多いと言われがちだが、近年は変わってきている。空軍が6カ月間のローテーション制に変わったので、短期間沖縄に滞在する若い空軍兵の犯罪率も上がっている」と述べる。ランディ氏も「6カ月の短期間駐留では沖縄の人と知人・友人になりにくい。もっと長期的な駐留によって沖縄の人たちとの交流を深め、お互いを人間として見つめ合うことが一番重要だ」と語る。
米軍関係者が起こした事件では不起訴になる割合が高く、約8割にのぼるとするデータもある。山本氏は、事件が政治的に注目されやすい沖縄では、被害者が誹謗中傷にさらされることがあり、刑事手続きにも影響を及ぼす場合があるとの見方を示した。
政治学者の岩田温氏は不起訴率の高さについて、日米地位協定による捜査上の制約を問題視する。「米軍にどんな人が入ってくるかは、日本としてできることはない。やはり日米地位協定を変えて、日本の警察が基地の中に入れるようにすべき」と指摘する。
また山本氏も同意し、「日米地位協定の3条にある米軍基地への立ち入り制限規定を撤廃すれば、日本の警察が日本人に対するのと同様の捜査ができるようになり、沖縄の人の不満もかなり解消されるはず」と述べた。
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