■人口減少で失われる都市機能…「30万人」が一つの目安に
富山市の人口水増し疑惑について、人口減少対策総合研究所理事長の河合雅司氏は「捜査中でわからないところは多いが、かなり異常な事態だ。こういうことをやれば逮捕されたり辞職に追い込まれたりするという知識レベルの人たちが、あえてやっているということは、やはり誰かに強制されたとしか思いようがない。一線を越えてしまったと感じる」と指摘した。
さらに、人口規模が都市機能に与える影響に関連し、「30万人を下回ると我々の生活に必要ないろいろなサービスの一部が立地していないことになる。徐々に不便な状況が広がってくるという一定の線になっている」と解説した。
また、北海道北見市における指定ゴミ袋の大幅値上げについては、「ゴミ袋を多少値上げしたくらいで財政が改善するとは思えないので、こういう状況になっていることを市民に知らせるのに一番いい方法だったのだろう」と推測。その上で、「日本中で今、財政危機に陥ってきているところが多い。背景には人口減少と住民の高齢化がある。収入が年金中心の人が増えて住民税が上がらず、消費しなくなるため地方消費税も目減りし、土地も動かなくなるので固定資産税も下がってくる。いわば地方の財源の部分が人口減少でじわじわきている」と、全国的な自治体の窮状を説明した。
社会学者の古市憲寿氏は、モータリゼーション(自動車の普及)以降に分散した居住地について、「中長期的には街をシュリンク(収縮)していくしかない。車がなかった時代にもう一回戻して都市機能を集約していくことは、そんなに無理な議論ではない」と主張した。また、ギャルタレント・あおちゃんぺは、地方に若者が定着しない理由に「遊ぶ場所のなさ」を挙げ、「子どもの時から『楽しい場所』という思想を植え付け、親にもここで子育てしたいと思わせないと無理だ」と指摘した。
これに対し、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「一次産業、二次産業は完全に立ち行かなくなって日本が成立するのか」と語る。「野菜などの食料はどうするのか。工場も地方の広大な土地ときれいな水で成立している。日本のIT企業の本社は東京だが、売上の源泉は地方だったりする。大都市圏以外の人たちが病院に行けず薬ももらえない状況になったら、まともな人は住まない」と言及。極端な都市部への集約に懸念を示し、「普通の若い人たちが結婚して子どもを持てる社会にしなければならない」と、人口減少そのものに歯止めをかける政策の重要性を訴えた。
河合氏は地方都市のあり方について、「東京一極集中は究極の集約だが、あまり極端なことは現実的にできない。やはり地区ごとの東京に代わるような存在の都市が中心になって地方ができていくことになる。それが40万人規模くらいの都市になってくるのだろう」との見方を示した。
2070年には居住地点の3割が無人になるという予測もある中、インフラや公共サービスの再編・集約が避けられない状況となっている。古市氏は、「これまで使っていた道路や橋など、高度成長期に増やしてきたインフラを少しずつ畳んでいくことが始まる。その上で公共施設を集約していく。不便になったと思う人はもっと中心地に出ていき、結果的に都市部に人を集約していくと思う」と予測。
河合氏は、将来的な国土の管理について、「人口の減り方がすごく大きいので、目が行き届かなくなる土地は、これからも広がってくる。そこは国有地に戻していくことになるのではないか。新しいテクノロジーを使って見守り、国土を守っていくようなことは、これから議論になっていく」と語った。
■人口減少を前提とした「賢い収縮」と今後の課題
