■免許証の画像流出が「より深刻」な理由
免許証の画像が流出したことを伝えるメールを受け取ったワカバさん(仮名)は、「やはり感情としては『不安だな』というところが大きい」と心境を語る。
こうした不安の背景には、免許証情報が持つ特有のリスクがある。上原教授はその深刻さをこう説明する。「今、インターネットを通じて、特に金融機関に口座を作ったりローンの申し込みをしたりするときに本人確認が行われるが、最近では免許証の画像を送信して(本人確認として)使うことが許されていて、それが今回漏れてしまった。つまり勝手に口座を作られたり、お金を借りられたりするようなリスクがあるのが一番厄介。これは銀行だけでなく、クレジットカードや消費者金融でも起こり得る」。
さらに、海外の本人確認サービスのデータでは、生体認証を狙った不正の5件に1件がディープフェイク関連とされる。AIによって免許証の顔写真そっくりの画像を生成してなりすますことも、すでに実際の不正手口として使われつつあるという。
不正ハッキングを行う集団の目的について、上原教授は「基本的には金銭目的。個人情報をいっぱい盗んでおいて、バラされたくなければお金を払えと迫る“ランサム”という手口がある。ただ、だんだんお金が払われなくなったせいか、最近は単に情報を盗んでいくだけという手口も目立つ。ブラックマーケットで売ってマネタイズし、詐欺や別のサイバー攻撃に転用するために買う人がおり、そこで売っているのではないかと推測されている」と解説する。
また、家族会員のデータが含まれていることで、特殊詐欺への悪用も懸念される。「例えば一人暮らしのお子さんがいる家庭だということが分かったら、そのお子さんがひどい被害に遭ったのですぐお金を払ってほしいという、よくある特殊詐欺の手口に使いやすい。人間関係の情報は比較的悪用されやすい」と上原教授は警告する。
ライター・Podcasterの速水健朗氏は、この種の犯罪の“見えにくさ”を指摘する。「流出させる犯罪とそれを悪用して利益に変えるところは多分関係ない。1年前に流出したものが今使われるのか、3年後に使われるのか分からない。事件の全体性が見えなくなっている。本当に頭のいい犯罪者だったら、(個々の)クレジットカードから100円ずつ抜いていく。誰も気づかないまま犯罪が続いていけば、そっちが大きな犯罪になる」と述べた。
■被害を受けたら今すぐ「信用情報機関」に届け出を
