■職場全体の「休みやすさ」へつなげる狙い…広がる企業の導入事例
この「孫育休暇」は、小学校3年生までの孫1人の場合は年に5日、2人以上の場合は10日まで、時間単位でも取得可能だという。
この制度について犬山氏は、「ものすごく助かる方が多いと思う。子どもは急に熱を出すし、仕事によっては保護者が急に休めない時もある。病児保育がすぐ簡単に取れたらいいけど、それもなかなかまだ難しい。そんな中で、“孫休暇”という助けてくれる制度があるのは、子育てを親だけではなく社会みんなでやるんだという感じもすごく伝わってきていいなと思う」「ただ、子育てを家族だけでやっていきましょうではなくて、病児保育をもっと増やそうとかそっちの動きも両立してくれたらいいなと思う」と語った。
この「孫育休暇」の背景には、職場全体の風土を変える狙いもあるそうだ。同グループでは男性従業員の育休取得率が100%を達成しているものの、育休を取ったら「職場に迷惑をかけてしまうのではないか」という不安の声もあるという。そこで、若手社員だけでなく、部長や課長クラスの“祖父母世代”も孫育てに関わって休暇を取得することで、職場全体が育休を取りやすい雰囲気を作ることを目指している。
これに犬山氏は、「上司が(制度を)取得しないと部下は取得しづらかったりするので、最年長の笹野さんが取っている姿を見ると、(部下は)取っても出世に響かないんだと思えるし、『迷惑かな』という気持ちも和らぐ。あと男性が取得しているのがいいなと思った。手伝うのはおばあちゃんというイメージがあるけれど、こうやって男性がどんどん取っているのはすごく素敵」と語った。
社員の希望をきっかけに“孫休暇”を制度化した企業もある。第一生命保険では2006年度から「孫の誕生を家族全員で祝いたい」といった社員の要望をもとに、出産時に3日間の公休を取得できる制度を導入。毎年1000〜1200人程度が利用する定着した制度となっているという。リンガーハットでも、取締役も同席する座談会で「働きながら娘の子育てのサポートができたら」という希望が孫がいる世代の社員から上がったことをきっかけに、2024年から“孫休暇”制度が導入された。また、おきなわフィナンシャルグループでは、沖縄の言葉で孫を意味する「んまが休暇」を2023年に導入、2025年4月からは小学校3年生までの行事(入園式・卒園式・入学式)などでも使えるように制度が改定された。
こうした企業の多様な姿勢について、犬山氏は「生命保険会社だから『ライフステージに』という発想があるんですね。毎年1000人から2000人も取得しているというのは制度として活きてますよね」「就活している子たちも、こういうことをやっている会社だというのが見えると、例えば自分が育休産休を取る時も柔らかい空気で受け入れてくれるのかなと想像しやすい」と、企業のイメージ向上にもつながると評価。
自治体でも進む「孫育休」…「みんなで助け合いながら子育てする」社会へ
