香車の候補として棋士たちが推薦したのは「サイレンススズカ」と「キズナ」の2頭。渡辺九段が「まっすぐビューンって」と振ると、阿久津八段も「行ってるんで、香車かなと」とサイレンススズカを猛プッシュした。
武騎手も「イメージ的に分かる気がしますね」と頷き、「とにかくスピードが速くて、そのスピードが最後まで続く珍しい圧倒的な逃げ馬だった。まずゆっくり走れなかったです。とにかく走るのが大好きで、一生懸命スタートから走っちゃう馬で」と愛おしそうに回顧。渡辺九段も「あんな大逃げしている馬いない」と、盤上を一直線に突き進む香車と“稀代の大逃げ馬”の姿を重ね合わせた。
しかし、もう1頭の候補である「キズナ」についても、武騎手には並々ならぬ感情があった。「2010年にちょっと大きい怪我をして、そこから本当になかなか結果が出ない苦しい時期だった。そこでキズナと出会って(2013年の)ダービーを勝てて、『よしっ』という気持ちになった馬なので、思い入れが強い」と、自身のどん底を救ってくれた相棒への深い感謝を口にした。「この2頭は本当に思い入れが強いですね」と語るレジェンドを前に、香車選びは究極の2択となった。
甲乙つけがたい状況に、渡辺九段は「すごい決めにくい。サイレンススズカとキズナで、ジャンケンいきたいと思います」とまさかの提案。スタジオが笑いに包まれる中、見事にじゃんけんに勝利した山根ことみ女流三段(28)の思いが通り、渡辺九段が「強いですね。サイレンススズカで」と宣言。武騎手も「ふさわしいですね」と納得の笑顔を見せ、香車にはサイレンススズカが刻まれることになった。トップ棋士たちが名馬の適性を将棋の駒に見立て、レジェンドがそこに珠玉のエピソードを添えていく至高のプロセスは、視聴者にとってもたまらない時間となった。
(ABEMA/将棋チャンネルより)


