■教員との対話もAI頼み?日常を侵食するAIと一般感覚のギャップ
さらに議論は、AIが人間の日常的なコミュニケーションや精神面に与える影響へと深まった。ウスビ氏は、大学現場で目の当たりにしている衝撃的な学生の姿を明かした。
「最近は、学生が教員である私と話をする際、『今日、先生に何を話せばいいか』を事前にAIに相談してから研究室に来る。学生と直接会話していても、『これは本当に目の前にいる学生自身の言葉なのか』と疑問を抱いてしまう瞬間がある。人間関係や日常生活のあらゆる領域にAIが入り込んでいる」。
弁護士・南和行氏も、仕事でAIを活用するようになった自身の経験を語った。
「仕事のデスクトップ上でAIを使えるようになり、自分の代わりに考えさせたり、指示した作業をこなしてくれる便利な秘書ができたとようやく実感していた矢先だった。ところが、AIの進化は想像以上に速く、便利な道具として使い始めたばかりなのに、人間の理解が追いつかないほど進化していることに驚いた」。
一方で、急速に高まる専門家たちの危機感に対し、EXIT・兼近大樹は生活者のリアルな受容感覚を語った。
「正直、なぜうまいかわからないままご飯を食べているし、なぜ眠くなるのか体の構造もわからないまま寝ている。人間はもともと、構造を知らないことばかりの中で生きてきた。たまたまAIが先に行きすぎただけで、知らないことだらけの中で生きてきた一般の人にとっては、そこまで恐怖や危機感は持てないのではないか」。
続けて兼近は、「もしAIが人間を支配していく流れになるなら、AIと対峙するために人類が初めて一致団結するかもしれない。人間同士がせめて1つになろうと、違う形の世界平和が近づくのではないかという期待感すらある」と、独自の視点で述べた。
■技術進歩による犠牲を出さないために 求められるルール作りと共存の模索
AIが急速に進化する現状について、フリーアナウンサーの柴田阿弥氏は過去の技術史を踏まえた課題を提起した。
「数学の解明によって難病の治療薬開発期間が短縮されるなど、ポジティブな面への期待は大きい。一方で、これまでの歴史を振り返ると、新たな技術が社会に定着する裏では、整備が追いつかずに多くの人命が失われてきた過去がある。今回は命が失われる前に、社会的なルールや整備を整えられるかどうかが極めて重要だ」。
野村氏も、AIの開発競争が激化する中で、開発企業のトップ層からも制御を求める声が出ている事実に着目した。
「米アンソロピックのダリオ・アモデイCEOやイーロン・マスク氏といった、AI開発で最も利益を得られるはずの当事者たちが、『能力を高める速度を落とし、コントロールすべきだ』と警鐘を鳴らしている。AIの進化を完全に止めるのではなく、だからこそ、車を馬に戻すのではなくブレーキやエアバッグを開発したように、人間がネガティブな要素をコントロールする仕組みを作らなければならない。そのためには少しでも時間を稼ぎ、徹底的な議論を進めるべきだ」。
(『ABEMA Prime』より)


